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特集

組合特定問題実態調査にみる
中小企業の事業継承とM&Aの取組み

事業譲受に対する取組み方針

事業譲受による企業成長についての取組み方針としては、「特に考えていない」が41.0%と最も多い。

一方で、「機会があれば積極的に活用したい」(11.8%)、「そのような提案があれば検討してもよい」(30.7%)などの肯定的な意見も4割以上存在する。その理由として、「本業との相乗効果を得るため」(68.9%)、「新分野進出や経営の多角化を図るため」(65.6%)などが上位に挙がった。

また、事業譲渡に積極的な企業や肯定的な企業ほど、事業譲受にも前向きな姿勢を示す傾向にある。

事業譲渡・譲受を検討する際の課題

図表9 事業譲渡・譲受を検討する際の課題(複数回答)事業譲渡・譲受を検討する際の課題としては、「仕組みや手法に関して知識が不足」と、基本的な知識不足を挙げる企業が44.3%と最も多い。

また、「適切な売却・買収価格の算出が困難」(27.4%)、「売却・買収ニーズにあった企業が現れない」(17.9%)など、具体的に事業譲渡・譲受を検討する過程での課題も挙げられている。

一方、「世間のマイナスイメージが強い」(9.4%)というような世間体を気にするような回答は少数にとどまった。(図表9)

事業譲渡を検討したことがある企業と考えたこともない企業について、事業譲渡・譲受を検討する際の課題をみると、検討したことがある企業は、「仕組みや手法に関して知識が不足」や「相談場所がわからない」、「世間のマイナスイメージが強い」との回答割合が相対的に高く、考えたこともない企業では、「売却・買収後の不安が大きい」や「売却・買収ニーズにあった企業が現れない」を挙げる企業が比較的多い。

事業譲渡についての考え方別に課題を分析すると、事業譲渡に積極的な企業は「とくに課題はない」が40.0%と最も多いが、「仕組みや手法に関して知識が不足」とする企業も30.0%あった。

また、「自社を発展させるためなら譲渡しても良い」という事業譲渡に肯定的な企業でも、知識不足を課題に挙げる企業が55.8%と多く、「適切な売却・買収価格の算出が困難」とする企業も3割超ある。

一方、事業譲渡に否定的な企業では、知識不足が41.7%と最も多かったものの、「売却・買収後の不安が大きい」が、積極派、肯定派に比べて相対的に高い。


事業譲渡・譲受に関して、中央会や工業団地組合に期待する役割

事業譲渡・譲受を検討する際に相談したい機関では、「金融機関」(49.5%)や「税理士、公認会計士」(44.3%)に続き、「静岡県中小企業団体中央会」(20.8%)や「工業団地組合事務局」(18.4%)への相談ニーズも、2割前後の企業から寄せられた。

事業譲渡・譲受に関して、中央会や工業団地組合に期待する役割としては、「事業譲渡・譲受のマッチング支援」が28.3%と最も多く、実際のマッチング支援へのニーズが高い。

さらに「経験者による講演会の開催」(27.4%)や「勉強会やセミナーの開催」(26.4%)など、基本的な情報発信機能としての役割も求められている。(図表10)

図表10 中央会や団地組合に期待する役割(複数回答)