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特集

組合特定問題実態調査にみる
中小企業の事業継承とM&Aの取組み

事業譲渡(売り手側)に関する考え方や取組みについて

事業譲渡の認知度

事業譲渡に対する認知度については、「詳しく理解している」との回答は6.6%にとどまったが、「おおよそは理解している」が52.8%に上り、6割弱の企業がある程度理解しているようだ。

事業譲渡のイメージ

事業譲渡に対するイメージとしては、「後継者問題を解決する有効な手段」(46.2%)が半数近くに上っている。

また、「企業が成長するための有効な手段」(39.2%)、「自社の企業価値が認められた栄誉なこと」(25.5%)と肯定的に捉える企業がある一方で、「廃業を避けるための最後の手段」(30.2%)という消極的な見方も3割程度の回答があった。なお、「会社の身売りであり恥ずかしいこと」(3.3%)という否定的なイメージは少数にとどまった。

事業譲渡の実施・検討状況

事業譲渡の実施・検討状況については、「考えたこともない」が73.1%と多数を占めたものの、「誰にも相談したことはないが、検討したことはある」との回答が16.5%あり、潜在的なニーズも少なからずある。中には、実際に「一部譲渡を実施したことがある」(0.9%)や、「成約には至らなかったが、買い手企業と交渉したことがある」(2.8%)も見られ、徐々に事業譲渡が浸透している様子も伺われる。(図表6)

図表6 事業譲渡の実施・検討状況

事業譲渡についての考え方

事業譲渡について自社のこととして考えた場合、「自社の発展・継続のためであっても、譲渡したくない」とする否定的な考え方が48.6%と半数近くを占めたが、一方で、「自社を継続させるためなら、譲渡しても良い」(40.6%)と、消極的ではあるが容認する企業も約4割あった。

事業譲渡に肯定的な理由

事業譲渡について「積極的に譲渡したい」「譲渡しても良い」と肯定的な考えを持つ企業の理由は、「従業員の雇用を維持したいから」が67.7%と最も多く、「経営体質を強化したいから」(50.0%)も半数を占めた。

また、「後継者がいないから」という理由も20.8%の企業が回答しているが、これは全体の9.4%を占め、後継者不在による事業譲渡の予備軍と言える。(図表7)

図表7 事業譲渡に肯定的な理由(複数回答)

事業譲渡に否定的な理由

事業譲渡について「譲渡したくない」との考えを持つ企業の理由は、「後継者へ事業承継するつもりだから」が84.5%と圧倒的に多く、事業譲渡に否定的というよりは、必要性を感じていないと言える。

ただし、「家業として伝統のある自社を他社へ譲渡することは考えられないから」(18.4%)、「従業員や取引先に対して良い結果にならないから」(17.5%)など、一部に否定的な意見も聞かれた。(図表8)

図表8 事業譲渡に否定的な理由(複数回答)