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シリーズ「くみあい百景」

障害者と共働 こだわりパンを製造販売

ぞうさん企業組合

住所:〒439-0011 菊川市仲島1-12-1
理事長:西家阿佐子
組合員:7人
設立:平成10年3月
TEL:0537-36-5482
FAX:0537-36-5482
URL:http://www.siz-sba.or.jp/zousan/

 

将来性豊かな地域

パンの製造販売を行う、新興住宅街の一角にある組合店舗。

静岡県の中西部に位置する菊川市。平成17年1月、菊川町と小笠町が合併して誕生。温暖な気候に恵まれた自然環境を活かし、まろやかで深みのある味が特徴の“深蒸し茶”の産地として有名である。

また、近隣には、東名高速道路、新幹線掛川駅、御前崎港、富士山静岡空港(来春開港予定)などを有しており、工業都市としても、将来性豊かな地域である。

当組合は、この菊川市でパンの製造販売や、自然食品の販売を行う目的で、平成10年3月に設立された。


国産小麦100%

行列ができるほど。菊川工業団地のフジオーゼックス鰍ナのパンの訪問販売。

組合の一日は、朝四時半に始まる。多い時は、1日に500個のパンを焼くこともある。製造するパンの種類は、80種類以上。旬の食材を使い、毎月週単位で、工夫を凝らしたメニューを作成している。

「国産小麦100%など厳選した安心できる材料の使用、求め易い価格など、消費者の目線にたち製造している。また、障害のある人もない人も、共に楽しく働ける場づくりを目指している」。西家理事長は、組合活動の意義を説く。

パンの販売は、ファックスや電話による予約販売が中心。個数にかかわらず、自宅や職場・学校などへ配達を行う。

「旬の食材を使うことで、パンを通し季節感を楽しんでもらいたい。材料は、なるべく生産者がわかる無添加・無農薬の物を選んでいる。燃料費のアップなど、厳しい面も多いが、安全・安心だけは貫き通したい」とパン製造の責任を担う渡辺理事は語る。


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団地組合へ販路開拓

数々のパンや自然食品が並ぶ店舗内。

パンは、予約販売のほか、平日11時から16時までは、店頭でも販売している。

組合は、昨年から地元にある菊川工業団地協同組合の協力を得て、団地内の企業の昼食時間を利用した、パンの訪問販売を開始した。訪問企業は、現在2社。それぞれ、月2回訪問している。

「企業の担当者も、障害者との共働を理解していただき、販売に協力をいただいている。回を重ねる度、楽しみに待っていてくれる従業員さんも増え、新しい販売方法も軌道に乗りつつある」。渡辺理事は、その手ごたえを語る。

組合では、パンの販売ほか無農薬紅茶など、こだわりの自然食品の宅配事業も行っている。昨年、こうした商品を紹介するため、念願のホームページを開設した。

「団地企業での販売や、ホームページの開設など、事業実施にあたり、中央会西部事務所の協力が、大きな支えとなった」。理事長は、今後の支援にも期待を寄せる。


共に働く

右から西家理事長、営業担当の大迫さん、渡辺理事。

厚生労働省の調査によると、全国の障害者総数は約709万人。そのうち、就労対象と見られる18歳から64歳までの障害者は360万人。実際に、従業員5人以上の企業で働く障害者は、50万人とまだまだ少ない。

政府は、年齢や障害の有無にかかわらず、安心して暮らせる“共生社会”の実現に力を注いでおり、今後、中小企業への障害者雇用の促進が強く求められる。

現在、組合には2人の障害者が就労している。

「法人化前から、障害者と健常者が、尊重し助けあいながら、楽しく事業を重ねてきた。互いが愚痴を言うなど、本音で話しながら、コミュニュケーションを取ることが大切」と理事長は、共働のポイントを指摘する。


コミュニティビジネス

今、わが国は、少子高齢化社会を迎えている。こうしたなか、「障害者支援」「介護サービス」「地域資源の活用」など、地域で解決しなければならない課題は、山積している。そこで、地域の課題を住民が主体となり、ビジネスの手法で解決する“コミュニティビジネス”が、今注目されている。

「地域には地域の良さがいっぱいある。多くの人が生きがいを感じ暮らせるように、今後も活動を続けたい」と理事長は語る。組合が先進的に取り組む、コミュニティビジネスの広がりに期待したい。