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革新企業

多彩な蚊帳で「癒し」の空間を創造
インターネットで甦る夏の風物詩

有限会社菊屋(磐田市)

所在地:本社…磐田市中泉243番地
TEL:0538-35-1666
          蚊帳の博物館…磐田市中泉235番地
TEL:0538-32-5552
URL:http://www.anmin.com/
代表者:三島 治 代表取締役
設立:1951年
所属:磐田銀二商店街振興組合、いわたネット協同組合 ほか

 

オリジナルブランド「菊紋和」と三島社長

日本初の蚊帳専門の博物館として三年前にオープンした「蚊帳の 博物館」。

「蚊帳の博物館」には「癒し」の空間を創造する多くの蚊帳が並ぶ。


かつて、日本の夏の風物詩のひとつだった蚊帳。だが、殺虫剤やアルミサッシなどの普及から、昭和40年をピークに姿を消しはじめ、今や「蚊帳の外」というなんとも寂しい言葉だけが残ってしまったようだ。

その蚊帳をインターネットによって甦らせたのが、磐田駅前商店街“ジュビロード”に店舗を構える有限会社菊屋だ。ネット売上が7割を占め、取扱量は国内で1、2を争う。

「“ ネット”から“ネット”が生まれたよ」と睡眠環境アドバイザーや睡眠改善インストラクターの資格をもつ三島治社長は笑う。

同社は、1951年、三島社長の父親が三島屋ふとん店として創業。島田市や浜松市に支店、営業所を展開するなど、業績を伸ばしてきた。しかし、1978年、父が急逝。東京でプログラマーに就いていた三島社長が急遽、跡を継いだ。

「“のれん”だけは守りたい、と家業を継いだが、もの余りや販売チャネルの多様化などから、“ まちのふとん屋”が勢いを失いつつあった時期だった」と振り返る。

危機感を抱いた社長は、物としてのふとんの販売から、真に良い眠りを提供すべく、20年ぶりにコンピュータに立ち向かい1996年、眠りのポータルサイトを目指した「安眠ドットコム(anmin.com)」を立ち上げた。

ネットの中の顧客の要望から、蚊帳を取り扱い始め、ベッド用やムカデ対策用の一体型など、従来にはない蚊帳を次々と開発してきた。どれもこれも顧客の声から生まれたものだ。

「エアコンや殺虫剤を敬遠し、自然な環境で眠りたいと蚊帳が見直されてきた。お客様の要望にあわせて、カスタマイズできるのが当店の蚊帳の大きな特長」。

2004年に誕生した正四面体の蚊帳「KACOON」(カクーン)は、パリ国際家具見本市に出展され高い評価を得るなど、世界で認められるデザインと機能を備える。

「我々が目指す蚊帳は、単なる虫除けの“ モスキートネット”ではなく、心地よい睡眠を促す“スリーピングネット”、そして癒しをもたらす“ ヒーリングネット”です」。

その決定版がオリジナルブランド「菊紋和(きくもんなごみ)」だ。麻糸を100%使用し、遠州地方特有のカラミ織りで織り上げる。この生地を湯通しした後に、でんぷん糊でパリッとしたシャリ感を出した。丸洗いが可能で、吸湿性や風通しも抜群の「究極の蚊帳」と胸を張る。

3年前、本店近くに「蚊帳の博物館」をオープンさせた。蚊帳の歴史や古今東西の蚊帳の展示、体験コーナーなど、「どうぞ、蚊帳の中へ」と日本初の蚊帳専門の博物館だ。

「本格的に蚊帳と取り組んでいくといろいろ蚊帳の効用や可能性が見えてくる。また、蚊帳を扱う以上は、蚊帳を通して少しでも世の中のお役に立てればと、蚊帳をアフリカに贈る運動も始めました」。

アフリカでは、毎年150万人もの子供が、マラリアで命を落としているが、地球温暖化の進行によって日本でもマラリアが発生する可能性があるとも言われる。「消えゆく夏の風物詩」と言ってはいられないようだ。