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特集

第52回中小企業団体静岡県大会 ―組合新時代を拓く―

新連携で開発から事業化まで支援
中央会、組合は連携プロデューサーであれ

名古屋大学大学院経済学研究科
山田基成助教授(新連携事業評価委員長)

新たな連携の狙い

「新連携」は事業者の自助努力を前提としつつも、政策の後押しがあれば市場化、事業化が見込まれる新事業を支援するものだ。事業化には単独の企業活動よりも専門分野をもつ複数の事業体が協力する連携組織の方が成功する可能性が高い。連携の相手探しから事業化までの各段階に応じて適切な支援を行なう新連携の持ち味はここにある。

新連携の課題

1.知名度の不足をカバーする

知名度や信用力の不足をカバーするのも新連携の考えだ。中小企業の場合、優れた技術や製品があっても顧客の支持を得られず購入に至らないことも多い。この不利点を補う方策の一つが、特許の取得や公的機関の試験結果データ等の証明である。

2.開発とマーケティングの一体化

新商品を売り込む人材や営業ノウハウが不足している場合は、これを補うパートナーを見つけ、連携仲間になってもらう。相手は、中小企業に限らず大企業や大手商社なども可能。ただし注意が必要なのは、技術開発と製品開発はちがうということ。技術開発が成功しても直ちに売れる商品をつくれるわけではない。

岐阜県のある会社が「不燃カーテン」を開発し連携体を組んでいる。東急ハンズで売られているが、特殊加工のため価格は高く家庭用カーテンとして購入する顧客は限られている。不燃素材はカーテン以外にも多様な使い道があるはずで、技術と市場をマッチさせるために開発とマーケティングを同時並行で繰り返し行うことが求められている。

中央会、組合の役割

昨今、組合事業の停滞が指摘されるが、組合制度に問題があるのではなく個々の事業者に元気がないのが一因。原材料の仕入れからマーケットまでのパイプに穴詰まりを起こしている状態といえ、新しいパイプをつくる必要がある。

そのためには異分野・異業種・異工程の連携が効果的だが、組合と組合員、中央会がどう関わるか。連携先を組合員に求めるだけでなく県内外の企業や大企業、研究機関などとの広域的、多角的連携の必要性を考えると、中央会や組合は企業間のマッチングや新事業の仕組みづくりを担う“連携プロデューサー”としての役割が期待される。