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防虫対策で新たなサービスを展開
平成16年度には、中小企業活路開拓調査・実現化事業に取り組んだ。同事業は、組合の新たな活路を見いだすため、新分野進出、新商品・新技術・新市場の開拓などの可能性について、調査研究や将来ビジョンの策定を通じ、成果の具現化を図ろうというもの。テーマは「害虫被害の実態把握と防虫策の研究」。丸太に巣食うカミキリムシなど害虫による被害は大きく、その対策が課題となっていたことから、県林業技術センターの助言・協力を受け、産官連携で防虫策の研究を行った。
「山で伐採した丸太は、製材されるまで、原木市場や製材所の土場にしばらく置かれるのが一般的で、この間に害虫が侵入することが多いんです。今回の調査で主に4種類の甲虫が確認されましたが、それぞれの生態にあわせ、その防虫対策も異なります。害虫の生態を十分に把握し、適切な防虫策を施すことで大きな効果を得られることがわかりました。この成果やノウハウをお客様である製材業者に対し、アドバイスすることでサービスに付加価値を生み、大きな強みとなっています」。設立以来、事務局を担う石野秀一事務局長は、事業の成果に自信をのぞかせる。
若者を受け入れる環境づくりを
さらなる技術向上にも意欲をみせる。林業作業の中でも、特に高度な技術が要求される伐木造材作業。その安全で確実な作業の習得と技術向上を目的に、毎年開催される静岡県伐木造材技術競技会では、県内各地から選抜された十数名の“林業の匠”が日ごろ培う技を競う。
「当組合からも選手が出場しました。伐木造材の競技大会は全国的にも珍しく、技術や早さだけではなく、安全対策も求められます。組合では、労働災害防止のための安全衛生講習会を毎年11月の、山の神を祭る“山の講”に合わせ開催し、さらに安全意識を高めるよう心がけています」と自らも山に入り伐木を行う石野事務局長は、力を込める。
今後、ますます作業者の高齢化と後継者不足が進むことが予想される。内山理事長は、組合の果たすべき役割をこう語る。
「プロセッサやフォワーダーなど最新機器を導入し、作業効率の向上や安全対策を万全にすることは言うまでもありませんが、私たちは山で育ち、山から糧を得ています。しかし、高齢化と後継者難が深刻化し、このままでは、業界から活気が失せてしまう。若者に山や木の魅力をもっと知ってほしい。そのためには、若者を受け入れる環境を整える必要があります。その役割を組合が担っていきたい。多くの“林業の匠”を育てたいのです」。 |