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4月スタートした「地域団体商標」事業協同組合など14件の出願
水産加工業や茶業、漆器業界らが地域ブランド保護へ

「地域団体商標」がスタートして半年が経過した。本県では蒲原町桜海老商工業(協)や静岡県茶商工業(協)、静岡漆器工業(協)など事業協同組合のほか農協や漁協など合わせて14件の出願があった。ここでは、その内容や必要性について紹介する。

県内組合の出願状況

はじめに、事業協同組合を中心に出願された商標や指定商品についてみていく。

蒲原町桜海老商業(協)と由比町桜海老商工業(協)、大井川町桜海老商業(協)の3組合は、「駿河湾桜えび」の商標を共同出願した。特に台湾産など近年大量に流通する外国産との差別化が目的だ。

浜松市の遠州灘ふぐ調理用加工(協)の出願商標は、「遠州灘天然とらふぐ」だ。日本屈指のとらふぐの漁場となった地元産の知名度、商品力向上がねらい。

県経済連とともに「静岡茶」を出願したのは県茶商工業(協)である。県産の緑茶やそれを主原料とする清涼飲料を指定商品とする考えだ。このほか茶業界では、川根茶業(協)が「川根茶」を、掛川茶商(協)と掛川市農協が共同で「掛川茶」をそれぞれ出願した。いずれも地元で生産・販売される茶が指定商品となる。

焼津鰹節水産加工業(協)は、「焼津鰹節」を出願。焼津市で製造されたかつお節が対象商品だ。沼津市の沼津魚仲買商(協)と静浦ひもの(協)は「沼津ひもの」を共同出願した。

食品関係以外では唯一、静岡市の静岡漆器工業(協)が名を連ねた。「駿河漆器」の商標として事務用品や家具、磁器など3つの商品区分で出願している。

出願人 出願された商標
1 三ヶ日町農業協同組合 三ヶ日みかん
2 由比港漁業協同組合他 由比桜えび
3 蒲原町桜海老商業協同組合
由比町桜海老商工業協同組合
大井川町桜海老商業協同組合
駿河湾桜えび
4 遠州灘ふぐ調理用加工協同組合 遠州灘天然とらふぐ
5 焼津鰹節水産加工業協同組合 焼津鰹節
6 静岡県経済農業協同組合連合会
静岡県茶商工業協同組合
静岡茶
7 川根茶業協同組合* 川根茶
8 掛川茶商協同組合、掛川市農業協同組合 掛川茶
9 函南東部農業協同組合 丹那牛乳
10 川根茶業協同組合* 川根茶
11 静岡漆器工業協同組合* 駿河漆器
12 静岡漆器工業協同組合* 駿河漆器
13 静岡漆器工業協同組合* 駿河漆器
14 沼津魚仲買商協同組合、静浦ひもの協同組合 沼津ひもの

*は複数出願。

地域ブランド 商標登録のメリット

地域ブランド品が消費者に認知され商品力が高まるようにと、その人気に便乗する商品が現れることがある。こうした類似品等が出回ると本物が売れなくなるばかりでなく、品質が劣る粗悪品が本物と間違われることによりブランドイメージを傷つけ消費者の信頼を損なうことも考えられる。

ここで、商標登録のメリットを整理する。商標の3大機能は、出所表示、品質保証、広告宣伝である。商標を登録しなくてもこれらの機能自体は変わらないが、商標登録をしないと他人に同じ商標を使われても法的に対抗することができない。品質が劣る類似品が同じ商標で出回ると、ブランドの信用失墜、崩壊という最悪の結果にもなりかねない。

また、生産者や作り手の側に対しても、「差別化された特別の商品をつくっている」という誇りを感じさせる効果も地域ブランドの場合は大きいといえる。

ところで、地域団体商標登録には一定の周知性が必要である。今後、登録を検討する組合は中央会情報課までお問合せ下さい。

資料:北海道知的財産戦略本部「地域ブランド《必携》ガイドブック」より

地域団体商標登録出願の流れ

地域団体商標制度の目的

地域ブランドを適切に保護することにより、事業者の信用の維持を図り、産業競争力の強化と地域経済の活性化を支援することを目的としています。

地域団体商標制度の目的の図