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ビジネスレポート

「生涯を託す建設産業へ」テーマに 朝霧フォーラム開催

職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会・富士教育訓練センター

涌井氏が新たな時代の建設業のあり方を説いた。
富士を間近に教育訓練に励む研修生(下)。

建設関連の専門工事業団体や協同組合等で構成する職業訓練法人全国建設産業教育訓練協会・富士教育訓練センター主催の「朝霧フォーラム2009」が4月22日、富士宮市の同センターで開催された。

同フォーラムは、建設業界が直面する課題を業界全体で解決していこうと、平成16年から実施しているもので、全国から建設業者や関係機関担当者ら約300人が出席。“生涯を託す建設産業へ”をテーマに、建設業の未来を担う人材育成の重要性を改めて確認した。

はじめに、基調講演に立った造園家の涌井雅之氏(桐蔭横浜大学特任教授)は、
「現在、人類は農業革命、産業革命に続く“環境革命”の時代を迎えつつある。これは自然と共存する社会をつくる動きである」とした上で、「いま、世界の都市が目指すのは生態環境都市モデル=コンパクトシティだ」と強調。

「生態環境都市づくりと景観は不可分な関係にある。景観とは、文明と文化、自然と人間社会の関係を視覚的に表現した地域の遺伝子と定義できる。日本は、世界初の生態環境都市を江戸で実現したが、明治以降の経済成長至上主義のもと、都市の景観を蔑ろにした」と分析した。

今後の建設業について、
「環境と景観に配慮した産業でなければ生き残れない。開発指向の建設技術ではなく、自然に学び、自然をいなし、その力を活かした自然との融和技術が求められる」とあるべき姿を説いた。

続いて、センターを積極的に活用し技術者の体系的育成に取り組む鹿島道路(株)の伴康夫 生産技術本部機械部長は、
「当センターに新入社員を派遣して6年目を迎えたが、この間に入社した社員の定着率は95%にのぼる」とその効果を示し、「ものづくりの原点とともに、あいさつやコミュニケーションの重要性もきっちりと教育してくれる」とセンターでの教育の成果を述べた。

4年前からセンターへの新入社員派遣を始めた(株)東京朝日ビルドの松岡久史社長は、
「若手の育成とスムーズな技術伝承が、働き甲斐のある職場につながる」と信念を披露。

「教育プログラム作成依頼が派遣のきっかけ。派遣前の定着率は3分の1と低かったが、今ではほぼ全員が残っている」と効果を述べ、「若者に責任と権限を与えることで立場が人を育て、育った人材が優れた仕事をする」と結んだ。