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クローズアップインタビュー

JR菊川駅周辺の土地区画整理事業がほぼ完了
商店街に足を運ばせる仕掛け次々と

菊川駅南新町商店街協同組合
石山榮一 理事長

昨年秋、JR菊川駅前広場の整備が終わり、総事業費約160億円、四半世紀にわたる駅南土地区画整理事業がほぼ完了した。

駅南新町商店街協組の理事長、駅周辺の商業者で組織する駅南商店街近代化協議会の責任者、そして土地区画審議会会長として、大きく変容する街並みを見つめてきた。

「区画整理事業計画の正式決定は昭和61年ですが、その10年ほど前から話が持ちあがっていたので、35年ちかくのお付き合いです」。

事業の中心は駅前、中央、駅南新町の3街区で構成される駅南商店街の整備。その最も南に位置する駅南新町商店街の23人が、土地区画整理事業にあわせ法人化に踏み切ったのは平成4年。設立と同時に理事長に就任した。翌年から高度化資金などを活用し、組合員店舗の新築や共同駐車場、街路灯、商店街モニュメント、店頭統一看板などを次々と整備。難事を完遂した。

施設完成に合わせて始めたのが“しんまち優、友、遊フェスティバル”。フリーマーケットや出店、中高学生による吹奏楽の演奏など、街に賑わいをと、毎年9月に開催し、12回を数える。回を重ねるごとに来街者は増え、いまや商店街を代表する催しだ。さらに三商店街合同で実施する朝市や“お釈迦祭り”、“夜店市”など組織を超え、趣向を凝らしたイベントを陣頭に立って次々に企画・展開する。

こうした活発な事業活動に欠かせないのが組合員の協力だ。

「ほとんどの組合員が明治時代から続く3代目、4代目。なにをやるにも“阿吽の呼吸”。代表者や店主が出られなくても必ず代理を出すなど、1人ひとりが自分の組合という意識がとても強い。いわば全員が理事長ですね」と目を細める。

一方で、「組合員の売上が落ちている中、どう組合の財源を確保していくか、組合の事業が過度な負担にならないような工夫も必要」と課題を明確に挙げた上で、「世代を超えてお買い物をしてくれるお得意様や遠方からお見えになる固定客も少なくない。だが、長年ここで商売をしているのに、店の存在を知らない方も驚くほど多い。商店街に足を運びたいと思わせる仕掛けづくりは組合の役割だが、最終的には個店の魅力。個店と組織の相乗効果で商店街は賑わうのです」と組合の意義を強調する。

明治時代から続く商家の4代目。戦前までは雑貨や米穀販売、戦後は灯油やガスなどを扱う燃料小売業に転じた。

「先祖が築いたこの商店街を守っていきたいという想いが組合活動の源泉」と郷土への深い愛情をみせる。