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視点・指導員の現場から

工夫ひとつで会議も組織も変わる

企業も陥る動脈硬化

年月を経るに従い動脈硬化などの病状に苦しむのは人だけの話ではない。

企業にも、同じことが当てはまる。たとえば、当初は何らかの意味や目的を持っていたはずのルールや慣習が、いつのまにかそれ自体が目的であるかのように踏襲されるケース。形式や建前重視で、次第に組織から柔軟性や活力をそいでいく。会議のマンネリ化もその例だ。

ある中小企業の経営会議に出席したときのこと。現場を一番分かっている課長が、役員から在庫管理の改善手法について意見を求められた。課長は、理路整然と課題と対策案を語り始めた。なかなかの人材‥。私は密かに感心したものだが、思いは途中から違和感へと変わった。彼の論調は、どこまでも「‥とすべきです」「こうあるべきです」という客観論に終始。内容はその通りであろうから、ここは「すべき」ではなく「します」という主体性が欲しかった。もっと言えば、改善点に気づいているのなら、なぜ自発的に手を打たないのか。(私自身のことは棚にあげての話であるが)

この日、結局、会議の結論は出なかった‥。

たまたま目にした1シーンをもってコトを論じるのは早計であるが、あちこちで動脈硬化の症状が現れている気がしてならない。

会議はPDCAを回す

近年、会議のあり方に工夫を凝らし組織の活性化を試みる経営者が増えている。外部専門家の力を借りるケースも少なくない。

静岡市のI社は、年間百数十件におよぶ中小企業の作業改善等を手がけるコンサルタント事務所である。指導先では改善手法の1つとして「だれ、いつリスト」を用い、会議の活性化に役立てている。「だれ、いつリスト」とは、5S指導会の最後に行う「まとめ会議」で威力を発揮するツールであるが、中身はシンプルだ。用意するのはホワイトボードひとつ。ここへ書き込まれた改善指摘事項ごとに、「だれ」が「いつ」までに対策を講じるか、担当者と期日を記入するのみである。担当者は「部門」ではなく「個人名」を特定し、期日は「来週中」などの曖昧な表現を避け、「日付」を明記する。責任者と期日を誰の目にも明らかにすることで、「やってない」の言い訳を断つためである。

そして、本番は次回の指導会議である。各担当者には「だれ、いつリスト」をもとに、宿題の対策と結果(成果)について説明が課される。対応に甘さがあれば、質問攻めで冷や汗の連続だし、逆に一定の成果があがれば達成感や自信、さらなる改善意欲が湧き出る。

このように会議のメリハリ感を醸成した上で、いわゆるP(プラン:計画)・D(ドゥ:実行)・C(チェッ ク:確認)・A(アクション:修正実行)サイクルを回していくわけだ。

ただし、良い結果が出なくても慌てることはない。1歩でも半歩でも改善の跡があれば良い。課題の共通認識に立った社員の自主性発揮こそが、本質的な成果であるからだ。興味がある方は、気軽にお問い合せを (矢部)