静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2009 May No.666 団地移転を機に 大いなる発展協同組合テクニカルパーク湖西
平成四年工場団地完成
静岡県には、高度化資金等を活用した工場団地組合が46件ある。そこで今回は、移転後の組合と組合員の現況について県西部地区にある組合を取材した。 平成4年9月協同組合テクニカルパーク湖西の組合員14社は念願であった新工場が完成し、多数の来賓に祝福されて竣工式を迎えた。前身の一の宮工業団地第1回説明会から2年8ヶ月、工場団地内総敷地面積9万5026平方メートル、土地取得・工場建設費に104億円強投じた。 組合員は市街地の住工混在状態にあって、工場の拡張難、騒音・振動などの問題を抱え、この問題を解消しようと自動車関連の中小企業者が中心となり平成2年12月組合を設立、建設資金は高度化資金(小規模等集団化事業、90%融資、償還期間20年、金利2.7%「現行1.1%」)を活用し建設した。 団地移転の効果団地移転により住工混在による諸問題を一掃できたことで、作業環境は劇的に改善され生産性向上の一助となった。特に工場敷地、工場面積を移転前と比較すると敷地面積で組合員平均3.2倍(最大5.5倍)、工場面積で平均2.2倍(最大3.5倍)の拡張となった。 また、団地完成時期はバブル経済崩壊後の国内不況、円高による輸出不振で自動車関連企業は受注減少に悩んでいた。しかし、比較的規模の大きい組合員1社が団地外企業に発注していた仕事の一部を多くの組合員に発注したことで危機を乗り切ることができた。これを機に、組合員間での機械の貸与や技術交流が積極的に行われ組合員の経営は技術的にも向上した。 特に、団地内の組合員企業間取引が行われたことで物流コストや運送時間の削減に貢献した。更に、新社屋は企業イメージを高め求人活動にも好影響を及ぼした。 最近の組合と組合員昨年10月から自動車メーカーの業績不振で組合員の多くが厳しい経営を強いられているが、移転前と直近の実績値と比較すると組合員の売上は飛躍的に伸びている。中には移転前より3倍強売上を伸ばす企業や倉庫工場等を団地内に増設した組合員が5社もいるなど、移転後の躍進振りを袴田理事長から聞くことができた。 また、組織化のメリットを享受できるよう運営財源の一部は共同事業で賄っているという。組合員の積極的な利用によって特に給食斡旋事業や共同警備事業等の手数料は貴重な財源となっている。 更に、殆どの組合員の後継者が第一線で活躍するようになり、運命共同体的要素を秘めた団地組合の連帯意識の醸成と経営者としての資質の向上を目指し平成10年青年部を発足、研修活動や親睦会等を通じて今後の組合の運営を担う後継者の養成にも取り組んでいるという。 高度化資金への要望
取材の中で高度化資金への要望事項を質問したところ、袴田理事長は、本資金の普及により中小企業のますますの振興と発展を願いたいとして、次の2点について語った。 「旧団地補完事業の改正によりリニューアル事業が発足1社増設等も貸付対象となったが保証人4人は厳しい」と述べ、また「バブル経済崩壊後、長期の低金利時代を迎え新規貸付利息は現行1.1%に改正されたが、改正前の借入金2.7%据え置きとなった。コスト削減等の経営改善を目指す組合員は、仕方なく新たに銀行から借りて高度化資金の繰上償還に踏み切った」など、平成15年当時の現況を思い出しながら要望と課題を語った。
経営者の経営手腕
袴田理事長と石原事務局長への取材を終えて、理事長の工場に案内していただいた。 その際、厳しい経済環境へ順応するために取引先の変遷と交渉過程、取引先の要望に応える徹底した品質管理、加工技術向上にかける日々の努力と従業員教育への投資、莫大な資金投入が求められる最新鋭の設備投資等々、工場を視察しながら説明を聞いて高度化資金は作業環境改善の手段、業績向上に至る主要因は、経営者の経営手腕にあることを痛感した。
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