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特集

18年度の活路開拓事業
市場開拓などへ8組合が着手

活路開拓調査・実現化事業とは

中小企業活路開拓調査・実現化事業は、中小企業が新分野進出、新商品・新技術・新市場の開拓など、新たな活路を切り拓くことができるよう組合を中心に英知を結集し、その成果をもって組合員の経営向上を促進させるための大型事業である。
同事業による補助対象件数は全国で5千件、本県では270件を超えた。
平成15年度をもって都道府県中央会の補助金が廃止され、全国中央会に一本化されることになったが、その事業ニーズは依然高く、本県では今年度、下表のように意欲ある8組合が事業に取り組んでいる。

18年度の活路開拓調査・実現化事業実施組合(静岡県)

組合名 実施テーマ
朝霧ヨーグル豚販売協同組合 朝霧ヨーグル豚およびその副産物利用による特産品の開発、ブランド浸透
ファインネット協同組合 市場調査事業への進出における調査事業
企業組合動物の森 ペット墓地公園の建設と新たなサービス提供に関する研究
静岡牛乳協同組合 海洋深層水を活用した乳飲料の開発及び販路の開拓
藤枝建築事業協同組合 組合規格住宅「四季の匠」ブランド化の研究
協同組合焼津共同冷蔵 水産関連団体の機能共同化・連携の可能性、焼津港周辺賑わい事業創出
静岡県中部生コンクリート協同組合 生コン輸送の効率化を図る共同配車に関する調査研究
エコウッド景観協同組合 アクアシステムウッドの開発による新市場開拓


18年度の活路開拓調査・実現化事業に、静岡県の8組合が着手した。
多くの組合が「新商品の開発」をテーマとしているが、その戦術は、顧客ニーズの調査や試作品づくり、試供・求評事業の実施など多様だ。

このほか、新たな共同事業を模索する組合や事業実現化に向けたシュミレーションづくりに着手する組合などもあり、成果を求めて様々な取り組みが展開されている。

8組合の横顔 課題と動機

未利用資源の付加価値化(朝霧ヨーグル豚販売協同組合)

県東部地区の商店街イベントに、富士宮市の朝霧ヨーグル豚販売協同組合が商標登録する人気ブランド「朝霧ヨーグル豚」が出店された。販売開始直後には完売するほどの売れ行き。やわらかく甘みがあり、豚特有の臭みがないなど、高い商品力が人気の理由だ。

商品の最大の特徴は、液状の餌にある。牛乳やパンなど食品を加工する際に出る副産物を数十種類選定。これをブレンド、ヨーグルト状に発酵させたものだ。抗生物質を使わず、コレステロール値を下げる働きもあるなど、安全・安心、健康に配慮された新しい食肉である。平成15年に日本計画行政学会第9回計画賞優秀賞、同17年には静岡県ニュービジネス大賞受賞。現在は、需要に生産が追いつかない状態を打開すべく、豚舎の増築を進めている。

全てが順調。しかし、組合はこの人気にあぐらをかくことなく、すでに次なる一手を模索していた。敬遠されがちなモモや腕などの枝肉や内臓、皮などの副産物をいかに有効活用するか。これが目下の課題だ。『事業の構造改善と新たな事業分野への進出』をテーマに活路開拓事業に取り組む。

新事業展開の研究(ファインネット協同組合)

富士宮市で、パソコン教室やホームページ作成などを事業目的に設立したのがファインネット協同組合である。平成14年の設立。20〜30代の女性起業家という先進性でも注目されたのは記憶に新しい。

事業は順調に推移している。例えば、ここ数年でも東部地区の行政や組合、団体、企業向けのパソコン講座の企画・運営を20〜30件、組合や団体のホームページを7〜8件と共同受注の実績を残すなど、ゼロベースのスタートから着実に実績と信頼を積み上げてきた。

ただし、「競合する事業所も多いので、経験を活かした新たな事業展開を検討する時期」(渡邉直美理事長)にきたのも確か。

そこで、組合が次の柱として着目したのが行政や企業、団体等が実施するアンケート調査の受託事業である。

現在、アンケート等による市場調査は、新聞社や大手ポータルサイト運営会社などが、その費用は高額なケースが多いため、中小企業や組合などでは容易に利用しにくいのが実情だ。そこで『市場調査事業への進出』に向けた調査研究に乗り出す。