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特集

地域産業実態調査にみる
団塊世代市場に向けた中小企業の新たな取組み

戦後のベビーブーム時に誕生し、わが国の高度経済成長とともに歩んできた「団塊の世代」。

60歳を迎えた今、活発で独自の価値観をもつ生活者として「アクティブシニア」とも呼ばれ、新たな消費を創り出す大きなマーケットとしての期待も高まっている。

特集では、昨年度、本会が実施した地域産業実態調査の結果をもとに、団塊世代の実態やニーズを明らかにするとともに、企業や連携組織による団塊世代向けの新たなビジネスや取り組みを紹介する。

団塊世代の規模と特徴

団塊世代のボリュームと高齢化の進展

「団塊の世代」とは、昭和22(1947)年から24(1949)年のベビーブームに生まれた世代を指し、作家の堺屋太一氏が1976年に同名の小説を発刊したことから、世の中に広まったことばである。

平成18年10月現在の人口で約677万人、総人口に占める割合は約5.3%と、人口構成上、大きな集団である(図表1.)。

この世代が65歳を迎える2012年以降、高齢者比率(総人口に占める65歳以上の割合)は大きく上昇し、2013年に25.2%、2035年には33.7%と国民の3人に1人は高齢者となる。

こうした急速に進む高齢化の中、大きなボリュームを持つ団塊世代のライフスタイルが、社会の様々な場面で大きな影響を与えていくものと思われる。

図表1. 2010年の人口ピラミッド

(拡大図を見る)

団塊世代の一般的な特徴

(1)消費することを楽しむ

戦後生まれの団塊世代は、「昭和ひとケタ世代」や「戦中派」とは、子供の頃から体験したモノや文化が大きく異なる。また、高度経済成長の真っただ中に育ったため、テレビや冷蔵庫、洗濯機など消費文化の恩恵をまともに受けてきた。その意味で“消費することの楽しさ”を肌で感じ、新しいモノに対しても好奇心をもって受け入れていく素地を有しているといえる。

電通の調査では、団塊世代の53%が、上の世代と「違いあり」と回答。その違いとして「パソコンや携帯電話が使える」、「夫婦で買い物や食事に出かけることが恥ずかしくない」、「好きなものに思い切ってお金を使う」、「子供に資産を残すより、自分のために使う」などを挙げている。

(2)仕事に対する強い自負心

団塊世代の先頭ランナーである1947年生まれの男性が、誇らしく思うことに挙げるのは「日本経済を支えてきた」、「競争してきた」、「がんばってきた」。合わせると65%(電通調査)に上る。大多数の団塊世代が、「がんばり、競争し、日本の高度成長経済を支えてきたこと」こそ、自らの世代の誇りだと考えていることがわかる。

(3)生涯現役の意識

数年前、1947年生まれが60歳を迎える2007年に、団塊世代が一斉に退職する「2007年問題」がおこると喧伝されていたが、現在、60歳で退職する人は半数にも満たないとみられている。

この背景のひとつに、定年の制度的延長により、継続勤務する人が多くなっていることがある。2004年6月、改正高年齢者雇用安定法が施行され、雇用を延長する年齢は2006年度から62歳までとなり、その後も段階的に引き上げられ、最終的(2013年度)には65歳までの雇用が義務付けられる。つまり、2007年以降、団塊世代が次々に60歳を迎えても、即リタイアにはならず、できるだけ現役でいたいと思う人がかなりの数にのぼると思われる。

また、労働政策研究・研修機構の調査によると、自己の技能や技術を後継者に伝達すべき、との回答が6割を超えるなど、技能に対する自信、技能継承への意識は高い。