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視点・指導員の現場から

コンプライアンス経営への取り組みを

「コンプライアンス」とは

「コンプライアンス」という言葉が世に出て久しいものがある。

コンプライアンスとはコーポレートガバナンス(企業統治)の基本原理の1つであるが、法律や規則に従って企業活動を行う「法令遵守」を指すというものと、法令とは別にある社会的規範や企業倫理(モラル)を守ることもコンプライアンスに含まれるという2つの論がある。

昨年度、本会では、法令を守ることはもちろんのこと、社会的規範や企業倫理に基づいた企業経営こそがコンプライアンスある経営であると捉えた上で、中小企業のコンプライアンスの確立とその支援策を構築に取り組んだ。

その一環として、コンプライアンス経営に関して先進的な取り組みをされている製造業、サービス業の企業に伺い、ヒアリング調査を実施した。

経営者の姿勢こそが従業員を動かす

各社を訪ね、経営者、従業員の方からコンプライアンス経営に関する話を伺う中での共通点について、具体的な方策と併せて紹介したい。

1.経営者がコンプライアンスを認識し、行動する

経営者が、一企業としてだけではなく、地域や業界のイメージを維持することや地域にとって存在価値のある企業を目指すことを強く意識した上で、コンプライアンス経営に取り組む姿勢を従業員に示している。

2.経営方針や消費者重視の姿勢を明確化し、従業員に浸透

顧客からのクレームをデータベース化することで全従業員が共有・活用でき、顧客満足度の向上を図られている。また、朝礼で社是を唱和し、企業理念や安全方針を社内に徹底している。

3.コンプライアンス活動の推進と対応策の充実

従業員の行動規範、情報保護、顧客満足に関するガイドブックを作るとともに、インターネットを活用した従業員教育を行っている。

また、製品のパッケージに自社の経営理念を掲載することで、広く世間に公表。これにより、従業員も社会規範を意識した行動を示すようになった。

4. 従業員との良好な関係を築くための労務管理の実施

年に1度、経営者が全従業員と個別面談を実施。1時間余り様々な話を交わすことで、社員の成長と目標を確認している。

また、従業員が自由に意見や業務の提案をし、採用されるシステムを導入したことでやる気が向上。高い定着率を保っている。

「顧客第一主義」の徹底

このような取り組みの上にコンプライアンス経営は成り立っているが、各社の経営者にその基本を尋ねると、「とにかく顧客第一。これをいかに社内に徹底させることが大切」と異口同音におっしゃった。

とかく、目先の利益に捕らわれがちな昨今。しかし、そんな時だからこそ、社会的規範や企業倫理に基づいた経営が大切なのである。より多くの企業が、この「コンプライアンス経営」に取り組まれることを願うとともに、我々もより一層の支援を図っていきたい。 (中村)