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特集

ここがポイント!監事の仕事

平成19年の組合法改正により、監査制度が大きく変わった。この背景には、近年、組合規模の拡大や異業種組合の増加などにより、自治運営が効果的に機能せず、また、共同事業の多様化や共済事業の拡大などの結果、組合運営に大きな支障を生じる事例が存在していたことなどがある。

特集では、多くの組合が決算を迎える三月を前に、従来と大きく変わった点を中心に「監事
の仕事」とはどんなものなのか、を改めて確認してみたい。

大きく変わった監査制度

業務監査権

理事による業務運営に対する監視機能を強化するため、会計監査のみに限定されていた監事の権限が拡大され、監事に業務監査権限が付与された。

組合員数が少ない組合においては、組合員による自治が機能しやすいと考えられるため、組合員の総数が政令で定める数(1000人)を超えない場合は、定款において監事の監査範囲を会計に限定できることとし、理事、監事の権限・義務を明確化している。

員外監事制度の導入

1000人を超える組合(以下「大規模組合」)では、組合員による自治運営が機能しにくいことから、組合運営の状況を第3者による監査を受けるよう、監事のうち1人以上は、組合員以外の者とす
ること
が義務付けられている。

なお、員外監事の導入が義務付けられる組合の監事については、業務監査権限が付与された。大規模組合の員外監事は、監査の専門性の見地から選任されることが望ましい。

会社法と連動した監事の資格と任期

中小企業等協同組合法(以下、「中協法」)では、会社法の規定に違反し、刑の執行終了から2年を経過しない者等が役員となることを禁止する役員の欠格事由を定め、監事についても会社法を準用している。

また、任期については、業務運営を監視する立場にある監事の権限を強化すべく、監事の任期を定款に規定することを前提に3年以内から4年以内に延長された。

定款で監事の権限を会計監査に限定している組合の監事については、任期期間中に監事に業務監査権限を付与する旨の定款変更を行った場合には、新たに監事を選任することが適当である。

したがって監事の権限を会計監査のみから業務監査に拡大する旨の定款の変更をした場合、それまでの監事の任期は満了することになる。

監事の議事録署名及び損害賠償責任

業務監査権限を有する監事が存在する組合では、監事による理事会の招集が可能だが、会計に限定されている場合は、不可能である。このため、監事の権限が会計監査に限定されている場合、理事が組合の目的の範囲外の行為その他法令若しくは定款に違反する行為をし、または、するおそれがあると認められるときには、組合員による理事会の招集ができることとし、理事会の開催を請求した組合員は理事会に出席し意見を述べることができることになった。

また、監事に業務監査権を付与することに伴い、監事による理事会への出席及び意見陳述を規定することから、理事会に出席した監事については、理事会の議事録への署名が義務づけられた。

さらに、総会の決議にあたり、組合員と理事・監事の質疑応答の機会を確保し、健全な組合運営がなされるように組合における理事・監事の説明義務が規定された。