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クローズアップインタビュー

誰もが見やすい印刷物を ワンストップサービスにも注力

静岡県印刷工業組合
大高 正利理事長

「正常な色覚をもつ人と色の見え方が違う人は、日本国内に320万人、とくに男性の20人に1人は、色覚になんらかの障害があると言われているのですよ」。

170社を超える県内の印刷業者を束ねる工業組合のトップは、“衝撃的な”数字を挙げ、こう続ける。

「正常な色覚を持つ人もその機能は年齢とともに低下するし、白内障や緑内障でも色覚は大きく変化する。我々印刷に携る者の義務は、誰もが違和感なく、見やすい印刷物を手がけること」と断言する。

それを体現するのが“メディアユニバーサルデザイン(MUD)”への取組みだ。静岡県は、全国ではじめて県政にユニバーサルデザイン(UD)の考え方を導入したUD先進県。

組合では、2年前から文字や色に工夫と配慮した“カラーユニバーサルデザイン”普及のため、実践的なセミナーやコンテストを企画。昨年は、それをさらに進め“色”に加え、デザイン性や機能性も考慮したMUDコンテストを実施した。

「昨年のコンテストには、一昨年のほぼ倍にあたる応募が寄せされるなど、関心は確実に高まっている」と確かな手ごたえを感じる。その一方で、「実際の印刷物にはまだまだ取り入れられていなのも事実です。これを機に組合が中心となり、MUDの普及を通じ、社会に貢献していきたい」と志は高い。

組合員の企業体質向上にも注力する。

「印刷だけしていれば良いという考えでは、今後生き残ることはできない。必要なのは、お客様が本業に専念できるよう発注から納品まで全てお任せ下さい、というワンストップサービス機能。組合では“業態変革・ワンストップサービス実践ガイドブック”を作成し配布するなど、今後も組合員のチャレンジをバックアップしていきたい」と意欲漲る。

代表を務める浜松市の杉山メディアサポート(株)の名刺には、“営業応援団長”の文字。そして、昨秋、社名から“印刷”をとった。印刷にとどまらず、営業ツールとして活用して欲しい、顧客の幅広いニーズに応え、その経営をサポートしていきたいという強い意欲と自信の表れでもある。

「印刷業界は、急速に進む電子化や次々と登場する新技術など大きな波にさらされているが、新しい技術に背を向けていたら何の進歩もない。これらを徹底的に研究し、どんどん自社に取り組む。諦めたらそこで終わりです」と自らを厳しく律する。

自身を「出来るまで徹底的にやる性格」と評する一方、「せっかちだから、気ままに暮らしてみたいね」とも付け加える。