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視点・指導員の現場から

自らを知り、経営力向上につなげる

地域力連携拠点事業への取組み

今年度中央会では、関東経済産業局の委託を受け、地域力連携拠点事業に取り組んでいます。この事業の中心は、農商工連携や事業承継等についての啓蒙普及セミナー、中小企業からの相談会開催事業、経営課題に対する専門家派遣で、昨年12月までに相談会を8回開催し、多くの企業の相談にのってきました。

様々な相談を伺っていて気になるのが、十分に自社の資金の流れが見えていない、決算書の中身をよく理解していない経営者・後継者が多いことです。

景気悪化に伴い、収益率・利益率が減退する中、貴重な利益を無駄なコストで食いつぶさないためにも、強化すべき事業への適切な経営資源の配分を行うためにも決算書の数字を理解し、把握しておくことが肝要だと思います。

しかし、漠然と決算書を見ていても、なかなか数字の内容を理解することは難しいかと思います。

そこで、以下の点に留意して決算書を見て頂ければ、比較的分かりやすく数字を把握できるかと思う点を列挙してみましたので、ご参考頂ければ幸いです。

  1. 過去何年かの決算書の数字を並べて比較してみて下さい。会社のお金がどのように推移してきたかが良く分かります。
  2. 決算書の着目すべき数字を覚えておいて下さい。
  3. 必要最低限の経営分析による比率は覚えておいて下さい。

私見!ここは押さえたい数字と指標

  1. 収益性:収益性とは、投下した資本に対し、どの程度利益を生み出しているかということです。儲ける力がどれ位あるかも把握できます。個人的には、以下の3点に注目しています。
    総資本経常利益率:収益性分析の基準となる指標で、7%が目安と言われています。
    売上高営業利益率:本業部分の儲けがどの程度あるかを表し、当然比率が高いほど優秀です。10%が目安と言われています。
    売上高経常利益率:借入金の支払利息も含まれるので、経営活動全般の効率を知ることができます。5%が目安と言われています。
  2. 健全性:健全性とは、資金の収支のバランスがとれているか、資金繰りが安定しているかということです。支払能力や資金調達のバランスがどうなっているかについて把握できます。こちらは以下の3点です。
    流動比率(当座比率):短期の支払い能力を表しています。資金繰りの100%を下回ると資金繰りが厳しくなります。ただ、在庫も含まれるので、当座比率で見るほうが適切とも言えます。
    固定比率(固定長期適合率):固定資産の投資を自己資本の枠内でまかなっているかどうかを表し、理想は100%以下です。しかし、個人的には長期借入金も含めた固定長期適合率でみたほうが妥当かと思います。60〜80%が一般的で、100%以下でないと不健全です。
    自己資本比率:資本を自前でまかなっているかどうかを表しています。50%が目安と言われています。

ただし、決算書はあくまでも過去の数字ですので、数字に振り回されないようご留意下さい。

(渡辺)