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特集

ここがポイント!監事の仕事

監事の仕事は重要だ

監事は、組合の必須機関であり、監査権限限定組合以外の組合では、理事会に出席し、発言権(議決権はない)をもつ。したがって業務執行その他財務管理等ついても正しくすぐれた意見が求められるなど、その役割は極めて重要であり、適格性が求められる職務だ。組合の管理運営は、いろいろな面で専門的であり、困難な問題も多く抱えている。中でも、財務管理の問題は専門的分野ともいえる。

仮に監事が、専門的能力をもち合わせていなかったならばどのような結果を招くだろうか。ただ単に決算書に判を押すだけのこととなってしまう。そうであってはならないし、そうなるならば、監事は制度上不必要な存在である。監事が監査を怠って、監査済の承認印を押すことは、組合に対する社会的信頼性を著しく損なうことにつながるのである。

では、監事に求められる条件とはなにか。一般に監事の人的基準には次のものが挙げられる。

  • 監事として適当な専門能力と実務経験を有していること。
  • 当該組合に対して特別の利害関係がないこと。
  • 監査を行うにあたっては常に公正不偏の態度を保持すべきこと。
  • 監査の実施については専門家として正当な注意をもってこれを行うこと。

それでは、具体的に監事が行う仕事をみていこう。

組合は、中協法で事業年度終了後遅滞なく、事業報告書と決算関係書類を監事に提出し、監事の監査を受け、監査報告を受領しなければならないと定められている。

監事の監査は、前述のとおり、会計監査と業務監査に区分され、原則として全ての組合の監事には、この2つの監査を行う権限が付与されている。しかし、前述したとおり一定組合(各事業年度開始時点で組合員数(連合会の場合には、会員である組合の組合員の合計数)が1000人を超えない組合で、定款に監事の職務を会計監査に限定する旨の規定を有する組合)については、監事に会計監査の権限だけを付与し、業務監査権を付与しないようにすることができるとされている。

監査のための予備調査

監査を実施するにあたり、まず、監査の範囲や手続、日数などをどうするかを合理的に計画する必要がある。

監事が監査報告を理事に通知するまでの期間は、組合から決算関係書類(業務監査権限を有する監事は事業報告書を含む)を提供されてから、原則として4週間をあけなければならない。

ただし、監事が決算関係書類(業務監査権限を有する監事は事業報告書を含む)の提供を受けてから、結果として4週間を待たずに監査報告を行うことは問題ない。このため、監事の監査能力と監査に要する実際の期間を見極め、関係書類の作成期限を予め決定することが肝要だ。

そこで重要となるのが予備調査である。これは監査の準備段階として、会計組織や内部統制組織の整備状況を可能な限り検討することである。

まず内部監査を行う場合、組合の業務の内容を理解しなければならない。したがって、沿革や組合員台帳、事業内容、定款・規約、議事録、地区内における当該産業事情、金融事情、業界の実情(慣習)、事務所、工場等の配置、部課等組織及び役員、幹部職員の氏名並びに職責、取引先関係、従来における組合の財政状態及び経営組織など幅広く組合の概況を知ることが大切である。

中でも議事録の内容を詳しく理解し、議事録に不備がないかどうか十分に検討することは重要である。

監査ノート・ペーパー

「監査ノート・ペーパー」はイギリスで発達したものだが、アメリカでは監査対象ごとにペーパーを使用するのでワーキング・ペーパー(WorkingPaper)と呼ばれる。

監査ノート・ペーパーには、監査の結果、判明した要点を逐一記録し、監査報告書の作成のよりどころとするものであり、この作成は欠かせない。

監査ノート・ペーパーは次の点に注意して記入しなければならない。

  1. 監査報告書の基礎となるものであるから、監査実施者の別、監査手続の方法、その結果等を明確に表示すること。
  2. 監査機関の仕事を記憶のみに頼ることはできない場合が多いため、記憶の蓄えとなるものであり監査指導の進行を示すものであること。
  3. 監査補助者の指導に役立つものであること。
  4. 監査員の責任を明らかにするものであること。