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特集

技能五輪国際大会に出場する静岡県選手は7人。うち2人の組合関係者が若き「匠の技」を世界に披露する。

広告美術 岡田朋子さん

岡田朋子さん
裾野市内に組合が設置した専用練習場で技に磨きをかける岡田朋子さん。

「広告美術」には、静岡県広告美術業協同組合の岡田朋子さん(沼津市・有限会社アカツキ工房)が出場する。

中学2年から広告美術をはじめた岡田さんは、沼津東高在学中の昨年10月、香川県で開催された技能五輪全国大会でみごと金賞を獲得し、日本代表に選ばれた。

「広告美術」は、与えられた仕様書に基づき、3面の広告板を製作する職種で、デザインやレタリング、構成、レイアウト、色彩などの表現能力や読みやすい文字の選択、画像と文字の美しい構成などグラフィックデザイン分野まで幅広くその技能や技術が要求される。

競技課題パネルの高さは2.4メートル。151センチと小柄な岡田さんは、大柄な外国人選手に比べ、ハンディを負うが、持ち前の元気さと努力でこれをカバーする。

周囲のバックアップも大きな力となる。組合では、岡田さん専用の練習場を裾野市内に設置。組合員であるアカツキ工房遠藤栄一社長からマンツーマンの指導を受け、その技術に磨きをかける。

「いよいよ本番まで100日を切りました。これから大会までは、以前にも増して練習に力を入れ、自分の納得のいく作品を作れるよう頑張りたい。今の目標は作品を完成すること。大会までには、塗装の仕上げを、海外のトップレベルに並べるくらいきれいにしたい」と意気込みを語る。

組合では、

「大会まで100日を残すところとなった。作業内容も日を追うごとに密度が濃くなり、本人も指導する組合員も精一杯の努力を重ねている。日本代表として胸を張り、持てる技と情熱で国際大会という大舞台での活躍を願っている」とエールを送る。

関連リンク

静岡県広告美術業協同組合

金属屋根葺き 久保拓也さん

久保拓也さん
「悔いは残したくない。当日はもてる力を出し尽くしたい」。久保拓也さんは健闘を誓う。

「金属屋根葺き」には、静岡県板金工業組合の久保拓也さん(長泉町・久保板金)が選ばれた。

父の経営する板金工場に入社したのは1年8カ月前。そこで初めて板金に触れたという久保さんは、板金歴2年足らずで日本代表の座を射止めた。

ヨーロッパ生まれの「金属屋根葺き」は、木製の屋根組み台に銅板を用い、立平葺きの屋根を施工。軒先には銅製の円型雨どいを取り付ける。

競技課題の銅板は、日常、仕事で使用するもの倍の厚さ。課題の銅板を扱った後、仕事に戻ると、いつも使っている銅板が「紙のようにペラペラに感じる」という。

仕上げの美しさや正確とともに、スピードも試される。

「競技は4日間にわたり行なわれる。前回の大会では、全て仕上げることができず、時間切れに泣いた選手もいたと聞いています。時間配分も大きなポイント。煙突の曲線部分の細工時間を短縮する練習をしています。悔いは残したくない。やるだけのことは全てやり、当日はもてる力を出し尽くしたい」と目を輝かせる。

前回大会の当職種では日本選手の出場はなく、久しぶりの日本人選手出場に周囲の期待も高まる。

工業組合三島支部の組合員が毎週集まり、技術指導をするほか、毎日、直々の指導を施す父の存在も心強い。

指導する父久男さんは

「周囲の大きな協力には感謝しています。練習した分だけ結果に表れる。教えられたことだけで満足せず、それ以上の努力と研究心で大会に臨んでほしい」と愛弟子の健闘を見守る。