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視点・指導員の現場から

求められる環境配慮型経営
温暖化対策と循環型社会が最大のテーマ

避けて通れない環境対策

地球温暖化が大きな社会問題になっている中で、企業の社会的責任(CSR)を踏まえた環境に配慮した経営(環境経営)の在り方が求められている。企業は、これまでのように環境規制法の遵守だけにとどまっていれば良いという考え方から、社会的立場を踏まえた環境への取組みの具体化が問われる時代だ。

これまで企業の環境への取組みといえば、大気汚染、水質汚濁のような公害の防止対策が主流であった。しかし地球規模で環境対策が問われる今日では、環境管理や環境ISOに代表される環境マネジメントシステムを取り入れ、環境と経済の共生を目指したグリーン購入、グリーン調達など環境に配慮した経営が求められるということだ。

この点については、環境基本法でも、行政・企業・生活者のそれぞれが果たすべき役割を明確にした中で、これからの環境対策に対する自覚と責任として、企業は、環境そのものを経営理念にしっかりと織り込んで、CO2の排出や廃棄物を削減する仕組みづくりを具体化していくように求めている。

中小企業が注目するエコアクション21

それでは、企業が効果的・効率的に取組むにはどうしたら良いのだろうか。

環境省が企業の環境経営への具体的な取組みとして推進しているのが、平成17年4月に運用が開始された「エコアクション21」だ。これは、21世紀型の環境経営システムのあり方として環境省がまとめたガイドラインに沿って企業が取組むもので、CO2削減、廃棄物減量、節水の3項目を取組むべき項目の柱としている。また、企業自らが、環境への取組みを公表する環境活動レポートの作成と公表を義務付けするなど、環境省、経産省、国交省、農水省など国が企業に求めるこれからの「環境経営の手法」そのものがエコアクション21といっても過言ではない。

これまで、環境マネジメントシステムといえば、ISO14001が主流であったが、認証取得のための経費や人的な負担などで、中小企業ではなかなか取組みにくいという難点があった。それに対し、エコアクション21は、認証取得のための経費がISO14001の10分の1で済むことや、省エネなどによる経費の削減というだけでなく、環境活動レポートでの情報公開による取引先や地域社会への信頼性の向上が期待される点に重点を置いていることから、現在、中小企業に大変注目されているマネジメントシステムである。

環境経営への積極的なチャレンジを

循環型社会の構築が求められる21世紀。大量生産、大量消費、大量廃棄の20世紀型の社会経済システムを持続可能な循環型社会に変えていくには、積極的に環境問題に取組んでいかなければならない。

中でも社会経済活動の中心となる中小企業者の取組みは不可欠である。中小企業にも取得しやすい環境経営マネジメントシステムとして急速に広まり見せているエコアクション21への積極的なチァレンジを期待したい。

(環境資源協会 平井)