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公正取引委員会からのお知らせ
改正下請法の警告事例紹介

下請法(下請代金支払遅延等防止法)は、下請取引の公正化を図るとともに下請事業者の利益を保護することを目的として、親事業者に対する義務と禁止行為を定めている。

ここでは公正取引委員会中部事務所が平成18年度に処理した事件のうち、主な警告事件の概要を紹介する。

発注書面の不交付・記載不備

  • 自社の販売する紙製品及び文具の製造を下請業者に委託するA社は、発注時に発注内容等の必要記載事項を記載して下請事業者に交付すべき書面(発注書面)を交付していなかった。
  • テレビ番組制作を下請業者に委託するB社は、発注書面に、必要記載事項である下請代金の支払期日等を記載していなかった。

受領拒否

  • パチンコ制御基盤等の製造を下請業者に委託するC社は、自社の販売予想に見込み違いがあったことを理由に、下請業者の責に帰すべき理由がないにもかかわらず、あらかじめ定められた納期に下請業者の給付を受領していなかった。

下請代金の支払遅延

  • 金属加工機械の部品の加工を下請業者に委託するD社は、「毎月末日納品締切、翌月17日支払」の支払制度を採っているが、当月納品締切分の下請代金の支払金額が少額の場合、その支払を翌々月の支払期日に順延して支払っていたため、一部取引において下請業者の給付を受領してから60日を超え下請代金を支払っていた。
  • 携帯電話のゲームアプリケーション及び着信メロディの作成を下請業者に委託するE社は、「毎月末日納品締切、翌々月末日支払」の支払制度を採っているため、下請業者の給付を受領してから60日を超えて下請代金を支払っていた。

下請代金の減額

  • 木製組立家具等の製造を下請業者に委託するF社は、「協賛金」と称し下請代金の額に一定率を乗じて得た額を支払うべき下請代金から差し引くことにより、下請業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金額を減じていた。
  • 貨物運送等を下請業者に委託するG社は、「手数料」と称し下請代金の額に一定率を乗じて得た額を支払うべき下請代金から差し引くことにより、下請業者の責に帰すべき理由がないのに下請代金の額を減じていた。

返品

  • 菓子の製造等を下請業者に委託するH社は、下請業者に口頭で受入検査を委任しているため返品できないにもかかわらず、返品を行っていた。

買いたたき

  • 貨物運送、荷役作業等を下請業者に委託するI社は、一部の発注において、下請代金の決定に際し、下請業者と協議することなく、従来の単価から一律一定率で単価を引き下げて下請代金を定めていた。

購入・利用強制

  • 自動車の修理等を下請業者に委託するJ社は、外注担当者が下請事業者に対し、自社が取扱う自動車保険への加入を要請していた。
  • 警備業務、清掃業務、ビル管理業務等を下請業者に委託するK社は、外注担当者が下請事業者に対し、自社の警備システムの購入を要請していた。

有償支給原材料等の対価の早期決済

  • 樹脂成形等を下請業者に委託するL社は、下請業者に対し、有償で原材料を支給しているが、下請事業者が製造加工して納品するまでの期間を考慮せずに当該原材料を使用した物品が納品される前に当該原材料の対価を下請代金から控除しているため、当該原材料を用いた給付に係る下請代金の支払期日より早い時期に、支払うべき下請代金の額から当該原材料の対価を控除していた。

割引困難な手形の交付

  • 自動車用内装品等の製造を下請業者に委託するM社は、下請事業者に対し、手形期間が120日を超える手形を交付していた。

不当な給付内容の変更・やり直し

  • 衣料品の製造及び加工を下請業者に委託するN社は、顧客からの要請を理由に、下請業者の責めに帰すべき理由がないのに発注内容を変更し、変更に伴う必要な費用を下請業者に負担させていた。
  • ポスター、新聞広告のデザイン等を下請業者に委託するO社は、顧客からの要請を理由に、下請業者の責めに帰すべき理由がないのに発注内容を変更し、変更に伴う必要な費用を下請業者に負担させていた。

書類の作成・保存

  • ビルメンテナンス業務を下請業者に委託するP社は、下請業者の給付の内容等必要記載事項を記載した書類を保存していなかった。