google

トピックス

平成18年度 「全国商店街実態調査」結果まとまる

依然厳しい商店街 70%が「停滞」または「衰退」
携帯電話などを利用した商店街の情報発信や防犯設備の設置に前向き

全国商店街振興組合連合会ではこのほど、平成18年11月に実施した「商店街実態調査」に関する調査結果をまとめた。同調査は、全国の商店街を取り巻く環境やその実態をアンケート調査により把握し、今後の商店街振興施策の推進や商店街支援に役立てるため、同連合会が中小企業庁の委託を受けて実施。昭和45年に開始されて以来、5年ごとに実施されていたが、商店街を取り巻く環境が短期間で変化していることなどを受け、前回(平成15年度)から3年ごとの実施となった。今回で9回目の調査となる。

調査の概要

  • 実施機関 全国商店街振興組合連合会(中小企業庁委託事業)
  • 調査対象 全国8000商店街(非法人含)
  • 回答率 34.7%
  • 調査方法 郵送による発送・回収及びインターネットによる回収
  • 調査時点 平成18年11月1日

商店街の全体の店舗数と会員(組合員)数

商店街を構成する店舗数は、平均で59.2店(空き店舗含む)。20〜29店(14.7%)が最も多く、30〜39店(14.2%)、40〜49店(12.9%)がこれに次いでいる。

商店街の形態別では「振興組合」(78.7店)の店舗数が多く、協同組合(65.5店)、任意団体(48.5店)の順となっている。

商店街の平均会員(組合員)数は、45.9人。最も多いのは、20〜29人で18.1%、10〜19人が16.0%、30〜39人が15.0%。200人以上の商店街は0.9%と1%に満たない。

なお3年前に比べ、平均店舗数及び平均会員(組合員)数いずれも増加している。

このページのトップへ

商店街の空き店舗数、空き店舗率

空き店舗率

ここ数年特に問題視されている空き店舗。前回調査時と対象商店街が異なるため、単純に比較は出来ないが、「0店」(空き店舗なし)と回答した商店街は、前回の23.9%から20.2%に減少した。しかし、「10店〜19店」層が7.8%から13.3%と5.5%の増加を見せたため、一商店街の平均空き店舗数は前回の3.9店から5.3店と増加。空き店舗問題に依然歯止めがかからない状況が続いていることを示している。

空き店舗率(商店街の全店舗数に占める空き店舗数)は、8.9%と前回調査時の7.3%から1.6%増加。初めて空き店舗率を調査するようになった平成7年度調査以降、最も高い数値となった。

空き店舗率を人口規模からみると「人口5〜10万人未満の都市」(13.4%)が、「人口5万人未満の都市」(13.2%)を若干上回っているが、基本的には人口規模が小さくなるに従い、空き店舗率は上がる傾向にある。

「立地環境」では、「住宅団地」にある商店街の空き店舗率が12.1%と最も高く、「一般住宅街」の商店街(10.3%)がこれに次ぐ。一方、「地下街タイプ」(0.4%)や「駅ビルタイプ」の空き店舗率は極めて低い結果となっている。

過去3年間の空き店舗数の変化については、「増えた」が37.1%、「減った」が11.3%、「変わらない」が46.5%となった。なお、「減った」と回答した商店街は前々回から3回連続で減少している。

来街者数の変化とその要因

ここ3年間の来街者数の変化は、「減った」「やや減った」とする回答の合計が全体の71.0%に達する結果となった。一方、「増えた」(2.2%)、「やや増えた」(6.7%)は僅かに過ぎない。

「増えた」「やや増えた」と回答した商店街にその増加要因を複数回答でたずねたところ、「集客イベント」が30.6%と最も多く、次いで「地域の人口増加」「魅力ある店舗の増加」(ともに28.5%)、「交通利便性の向上」(21.7%)が挙げられた。

また商店街内外の大型店の影響も若干であるが、来街者数増加の一因となっている。

一方、「減った」「やや減った」とする要因については、「大型店(商店街外)の影響」が最も多く過半数を超えた(55.7%)。

以下、「魅力ある店舗の減少」(45.0%)「業種・業態の不足」(39.3%)、「地域の人口減少」(26.5%)が続く。なお、これらの2次的要因とも想定される「空き店舗の増加」も17.2%挙げられた。

このページのトップへ

商店街の景況と近年の変化

商店街の最近の景況(人口規模別)

商店街の景況をみると「衰退している」「停滞しているが衰退する恐れがある」合わせ70.3%と全国の商店街の7割が「衰退」傾向にある。一方、「繁栄している」は僅か1.6%。「まあまあである(横ばいである)」は22.9%に止まっている。

前回調査では「繁栄している」との回答が2.3%であったのに対し、今回調査では1.6%と商店街を取り巻く環境は厳しさを増している。しかし「停滞しているが上向きの兆しがある」という回答も4.8%あることから、一部商店街においては、これから改善の兆しもあることも窺える。

人口規模別にみると「政令指定都市・特別区」のいわゆる大都市の商店街では、「まあまあである(横ばいである)」以上の回答割合が最も高く、反対に「停滞しているが衰退する恐れがある」「衰退している」の回答は他の人口規模より低くなっている。一方、「町・村」の商店街で「繁栄している」との回答はゼロ。「衰退している」が50.4%と過半数を占めるなど、人口規模に比例し、好況感が薄れていくことがわかる。

来街者の増加要因 来街者の減少要因

商店街が抱える問題

商店街における大きな問題

現在、商店街で問題となっている事項を上位3点回答してもらったところ、「魅力ある店舗が少ない」が36.9%でトップ。次いで「商店街活動への商業者の参加意識が薄い」が33.4%、前回調査で第1位であった「経営者の高齢化等による後継者難」が31.4%となった。

問題視されている「空き店舗の増加」は16.9%と他の項目に比べ、いわれているほどは多く回答されていない。

人口規模別では、「政令指定都市・特別区」で最も多い回答が「商店街活動への商業者の参加意識が薄い」、「人口5万人未満の都市」、「町・村」では「商圏人口の減少」が最も多く回答しているが、それ以外の規模の商店街では、「魅力ある店舗が少ない」が一番の問題であるとしている。

このページのトップへ

各種事業への取組み

商店街の活性化ビジョン等策定、実際の取組み状況は、「実施済みである」とした商店街は13.6%、「取り組み中」14.3%、「検討中」24.9%。「予定なし」が最も多く43.1%を占めている。

組織別では「協同組合」「商店街振興組合」の順に取り組む傾向がやや強い。ソフト事業での取組みが「実施済み」であるとの回答が高かったのは「共同宣伝(チラシ等)」(37.6%)、「サービス券、スタンプ、ポイントカード」(27.7%)、「共通商品券」(23.9%)。この3事業以外の取組みはいずれも10%以下であった。

一方、「携帯電話を活用した商店街の情報発信(店舗情報・駐車場情報など)」「電話・FAXによる商品の宅配、買い物代行」については1割以上が「検討中」との回答をしており、今後これらの取組みが商店街に浸透していくものと思われる。

ハード事業への取組みが「実施済み」と回答した項目では「街路灯」が71.1%と圧倒的に高く、「カラー舗装」37.4%、「花壇・植樹」30.7%と続く。また「アーケード」(20.8%)、「休憩所・ベンチ・トイレ」(19.6%)、「駐車場」(19.4%)の整備が済んでいる商店街も2割に上っている。

「検討中」で高い回答を示したのは「防犯設備(防犯カメラの設置等)」(13.0%)、「バリアフリー」(12.8%)、「エコステーション・リサイクルスポット」(10.9%)、「駐輪場」(10.7%)。

ソフト事業等の取組み ハード事業等の取組み