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特集

県内中小企業の工場用地ニーズと立地促進を考える

工業用地情報システムの方向性

中央会をはじめとする支援機関が、前述 の2つの機能を発揮し、工業用地情報の効 果的な活用につなげるためには、次の3点 が必要となる。

(1)ワンストップサービス

工業用地の情報を求める需要側(企業)にとって、必要情報が網羅的に一元化され、かつ、各個別情報の比較が行え、用地選択検討のためのあらましが得られることを目指すべきである。また、誰もが等しく情報にアクセスできる仕組みが基本となるが、顧客管理の視点から、顧客の需要度合いによって重みづけをしたサービスを考慮することも必要である。

1.情報検索の容易性

利用者にとって、必要な情報が必要な形態で提供されることで、その価値が決まる。

また、行政の情報元に対する情報の交通整理だけでは、利用者側には効果が薄い。必要な情報を必要な形で、検索・整理によって提供可能な、利用者の一義的な利用目的に応える機能を具備する必要がある。

2.情報のリンク

システム上で提供できる内容は限定せざるを得ないこともある。システムへアクセスした利用者に対しては、ワンストップで情報を提供すべきだが、専門的な情報については、専門機関にリンクさせるなど、次の段階に進ませる仕掛けも工夫する。

各市町の産業誘致についての方針や地域開発の考え方など、背景となる情報も需要企業側の用地選定の判断材料となる。市町のホームページ内の関連情報箇所へのリンクは必須の機能である。

3.プッシュ型情報サービス

行政機関の情報は、利用者の公平性を考慮した利用者側のプル型(必要とする側が取りに来る)構造が多い。しかし、工業用地を効果的に企業に利用させるためには、需要者側のニーズを把握し、情報提供側が需要側を区別して、効果的な情報を提供するプッシュ型構造を導入することも必要である。さらに、登録制メールマガジンの定期配信など工夫次第で、企業の潜在的移転ニーズを喚起することも可能となる。

(2)情報内容とシステムのクオリティ

用地情報には、最新情報が速やかに提供される仕組みづくりが必要だ。情報の陳腐化はシステムのクオリティを低下させるだけでなく、利用ニーズの減退にもつながる。

また、システム内の情報が安全な管理の下で運用されることも重要である。クオリティは情報内容の品質とシステム管理上の品質の両面で維持管理を必要とする。

1.情報の品質と提供のタイミング

情報の更新はシステムの要である。情報元のデータとの連動を図り、最新の情報が情報元と共有できる工夫が求められる。

また、情報の新鮮さとともに、開発計画の公表時期については各市町の意向に即した対応が必要となる。

ホームページなどの情報は速さや広がりをもつ利点があるが、情報誤認のリスクもあるので、情報発信のタイミングに留意するとともに、関係市町と情報公開のガイドラインを設けることも必要だ。

さらに、情報提供側にとっては、需要側のニーズ情報が把握できるよう顧客管理機能を盛り込むことが有用である。それによって、ニーズにマッチした情報提供や、用地開発時の需要側の基本情報としての活用も可能となる。

2.情報提供システムの品質

行政機関が、関係機関の情報システムを利用するにあたって、システム管理上の信頼を求めることは言うまでもない。公的情報の目的外利用やトラブル対策など、セキュリティへの期待も高くなる。その点からもシステム管理については、実績のある機関での管理が不可欠である。

(3)コストパフォーマンス

費用対効果を重視したシステムでなければ継続的なシステム維持は図れない。工業用地の販売頻度を考えれば、専用の情報システムやシステム専門部署を持つことは難しい。

県内の用地情報をまとめても、現状では20〜30区画程度である。システムのイニシャルコストとランニングコストの問題をどう解決するのか、システムの管理費用が継続的に賄えるように工夫することなしには、システム継続は不可能である。

工業用地情報システムコンセプト