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特集

県内中小企業の工場用地ニーズと立地促進を考える

調査の概要

企業の工業用地に関するニーズや情報

回答企業の概要

資本金規模では、「1000万円〜3000万円」が58.4%と過半数を占めた。従業員数は「30〜100人」が44.4%と最も多く「30人未満」(36.2%)とあ わせ8割を占める。

業種は輸送用機械、金属製品、一般機械、食品、化学・ゴム、繊維など製造業をほぼ網羅している。

現在、操業している敷地の面積は、「1000〜3000平方メートル」(19.8%)と「3000〜5000平方メートル」(19.1%)がほぼ同数。建物面積、延床面積はともに、「1000〜3000平方メートル」(建物面積28.4%、延床 面積24.5%)が最も多い。

工業用地の必要性と取得目的

工業用地の必要性については、「すぐに必要」(1.2%)、「将来的に必要」(28.8%) をあわせ30.0%に上った(図表6.)。

図表6. 工業用地の必要性

工業用地の必要性

取得目的で最も多いのが、「事業の拡張」(55.8%)、次いで「企業全体の移転」(44.2%)。「新規事業のための別工場」(14.3%)や「倉庫、物流基地」(10.4%)も1割を超えている。

現在地が抱える課題では、「現在地の狭隘化」が84.4%と8割を超え、生産環境の狭隘に悩む企業が相当数、存在することが窺える。これに続くのが「周辺環境の宅地化」(39.0%)、「生産システムの改善」(37.7%)でいずれも4割近くの回答があった(図表7.)。

図表7. 現在地の課題(複数回答)

現在地の課題

(拡大図を見る)

取得を希望する地区は、「県西部地区」(41.6%)と「県中部地区」(35.1%)をあわせ、4分の3近くを占めた。なお、「県東部地区」は18.2%。「県外」を希望したところはわずか2社(2.6%)であった。

工業用地の希望条件

希望面積は、1000平方メートル〜10000平方メートルの間に八割近くが集中。10000平方メートル以上を求める企業は7.6%に止まった。希望する建物面積、延床面積はともに1000平方メートル〜3000平方メートルが半数に上り、現在地と同様か、やや広めの建物を望んでいることが分かる。

土地を選ぶ際の条件は、高速道路や幹線道路の近くを望む一方、港湾・空港近くを希望するとの回答はなかった。また、市街地を望む回答も1割弱見られた。従業員採用なども理由として考えられる。

取得時期は、「すぐにでも」から「2〜3年後くらい」までを合わせ36.4%となっており、回答企業の3分の1以上が具体的に用地取得を検討する時期に来ていると言える(図表8.)。

図表8. 土地取得時期の希望

土地取得時期の希望

土地情報の必要性

工場用地の情報については、「希望する」と「将来的には希望する」をあわせて3割となり、前述の工場用地の必要性の有無と同様の結果となっている。

希望する情報は、「販売価格」(86.7%) をはじめ「物件の詳細」(50.7%)、「区画の広さ」(41.3%)など用地情報に関する項目が上位を占めた。用地情報以外では支 援策の情報が37.3%あった(図表9.)。

図表9. 希望する情報の内容(複数回答

希望する情報の内容

(拡大図を見る)

企業側のニーズ

工業用地のニーズ

  • 工場用地取得の必要性が出てきた時点で、用地情報の必要性や興味を示し始める。移転予定がない企業は、用地情報には無関心な状況。情報提供側からのプッシュ型情報も、潜在ニーズの探索には有効と考えられる。
  • 工場用地を必要としている企業は、用地情報以外でも四割の企業が支援策情報を求めている。

工場用地情報について

  • 工場用地を必要としている企業でも、積極的に用地情報を探索している企業は少なく、情報利用はわずか4.3%にとどまっている。
  • 用地情報を必要と感じている企業には、静岡県企業立地ガイドが最も認知されている。地元の発信情報には、感度が高いと考えられる。
  • 情報取得方法は、ホームページのニーズが最も高いが、紙媒体へのニーズも高い。ITリテラシーの課題も考えられるので、複数媒体の併用が効果的と考えられる。
  • 必要情報の要素には、用地情報、支援策、周辺情報が必須である。