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視点・指導員の現場から

転ばぬ先の杖

東海大地震!?

ずしんという衝撃で目が覚めた。激しい揺れが続き、家がみしみしと音を立てた。一瞬「東海地震」が頭をよぎった。揺れが治まり寝室の中を見回したが、特に倒れた物はなかった。他の部屋を調べてみたが、壁に立掛けてあった絵や空ビンなどが数本倒れている程度だった。たいしたことはなかったのかなと思いテレビをつけると震度6と報じていたので驚いた。

出勤しようと駅まで出てみたが、電車は動いておらず復旧には相当の時間がかかる様子だった。携帯電話もつながらず、あきらめて一度帰宅して様子を見ることにした。

テレビで情報収集していると崩れた駿府公園の石垣や崩落した東名高速道路の映像が映し出されていた。

我が家の水道・ガス・電気等のライフラインが全く影響を受けなかったため、テレビに映し出された被害映像もどこかひとごとに思え実感がわかなかった。

報道されない被害

ビール工場の商品被害や観光旅館のキャンセル被害、観光地のシンボルの損壊などが新聞等で報じられていた。

電話等で組合の事務局の話を聞くと意外と大きな被害を受けた企業の話も耳に入った。

大型の機材が倒壊し数千万円の被害だという。もし作業中だったらと思うとぞっとする。

事業継続計画(BCP)

新潟県中越地震とそれに続く中越沖地震の際、半導体製造工場や自動車部品工場が被害を受け国内産業に大きな影響を与えたことから「事業継続計画(BCP)」が、にわかに注目を集めた。

BCPとは、企業などが大規模な災害・疫病の流行等の危機に瀕した際、中核事業を継続、または早期復旧できるように、最悪の事態を想定して事前に定めておく計画。

事業中断による顧客の流出や経営への打撃から企業を守ることになり、企業評価を高めることにもつながる。

BCPの柱には、業務の優先順位付け、復旧までの時間の設定、製造等の代替手段の確保などがある。

静岡県では平成18年2月に中小企業庁が公表した中小企業BCP策定運用指針を基に、浜松地域の製造業と沼津地域の商店を事例とした「静岡県事業継続計画モデルプラン」を策定している。

喉元過ぐれば…

BCPの策定というと、うちの会社ではとても…という声をよく聞く。

BCP策定時の課題として「策定に必要なノウハウ・スキルがない」が第一にあげられている。

確かに中小企業が自力でBCPを策定するのは困難であるが、現在、BCPを得意とする専門家は多く存在している。

専門家派遣などの助成金を活用しながら、まず第一歩を踏み出してみては、どうだろうか。

時間がたてば今回の地震の記憶も薄れてしまう。喉元過ぐれば…である。危機意識が高まっている今こそ取組のいい機会である。 新型インフルエンザの脅威もささやかれている。いずれにしても転ばぬ先の杖である。(真野匡)