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クローズアップインタビュー

女性の視点から新たな仏壇
“シズオカ仏壇・仏具メッセ”に登場

静岡仏壇卸商工業協同組合
志村幹彦 理事長

1300点を超える新作仏壇や仏具を集め、毎年10月に開催される“シズオカ仏壇・仏具メッセ”。

14回目にあたる今年は15日から17日にかけ、静岡市のツインメッセで開かれる。

平成17年、仏壇産地静岡のメーカー18社を束ねる立場に就き、今回で5回目のメッセを迎える。

毎回、目をひくデザインの作品が並ぶメッセだが、今年は、“女性が考えた、女性が求める、女性のための仏壇”を掲げた新作がお披露目される。

「仏壇を買われる方の4分の3以上は女性。男性が重厚なデザインを好み、素材にこだわるのに対し、女性は色やフィーリング、そして手入れのしやすさなどを重視します。買い手である女性の視点で、と組合全体で新作づくりに取り組みました」と静岡を拠点に国内外で活躍する女性デザイナーを起用。伝統を踏襲しながら、女性らしい柔らかさが随所に感じられ、細かな面取りが重厚感を和らげる、品のある優しい仏壇が生まれた。

故人の思い出の品々を飾れる“ギャラリー・ボックス”としての要素も持ち、住宅メーカーやインテリア業界など異業種との連携も視野に入れる。こうした仕掛けの背景には、強い危機感がある。

「いま国内で販売されている仏壇の8割近くは、中国やタイ、ベトナム、インドネシアからの輸入品。変化しないものは模倣されやすく大量生産が可能なため、伝統工芸品ほど海外製品との価格競争に巻き込まれる。だから、真似されにくい個性ある商品が必要。今回の試みは、静岡仏壇の新たな第一歩です」。

静岡の仏壇製造業者のほとんどが戦後、下駄や家具、木製雑貨など木工業からの“転業組”。生家も、静岡市内で下駄などの塗装を手がける手工業を営んでいた。学校卒業後、化粧品メーカーに勤めたが、仏壇の塗装を依頼されたのがきっかけで昭和42年に現在、代表取締役を務める(株)丸玄工芸を創業した。

「業界に入った40年前には、全国で2400店ほどだった仏壇販売店が、今は8000店以上に増えた。 しかし、仏壇は一旦購入すれば代々受け継がれますし、少子化や仏壇離れなどとも重なり、これ以上の普及は望めない。今が業界の過渡期。産地静岡の生き残りをかけ、挑戦し続けたい」と決意のことばを繰り返す。

化粧品メーカー時代に学んだ油絵は、個展を開くこともあるという本格派だ。

「絵仲間が集まって絵を描いているうちに、いつの間にか麻雀を始めたりすることもあるけど(笑)」。