静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2009 September No.670 中小企業におけるコンプライアンスの確立と支援コンプライアンスは従業員一人ひとりの意識から(有)ほてる大橋館の湯(新潟・岩室温泉)創業140年の老舗、新潟県岩室温泉の(有)ほてる大橋館の湯。 80人を超える従業員が一丸となって顧客満足度の向上やコンプライアンス確立に取組み、新潟県経営品質賞・県知事賞を受賞するなど、先進的な取組みで注目を浴びる革新的な企業でもある 強力なリーダーシップで、コンプライアンス活動の陣頭指揮を執る石添邦彦社長が、その取組みについて語った。 コンプライアンスの基本は、地域との関わり地域との関わりがコンプライアンスの基本だ。一事業者が起こした食中毒や衛生問題も、温泉全体に大きなマイナスの影響を与える。 地域に生かしてもらっているという気持ちを持ち、地域のイメージを維持・向上させようという心がけが重要だ。地域から支持されないならば、なくなってもよいとさえ思うほど、地域との関りは重視している。 失われた信用を取り戻すのは、容易ではない食中毒を発生させた経験がある。食中毒を出せば、営業停止はもちろんのこと、予約客へのお詫びや他の宿泊施設の手配、営業再開後の関係者への説明など、その影響は2〜3年近く続く。 一旦、失った信用を回復するには、膨大なエネルギーが必要であることを痛感した。 これを教訓に、新鋭設備の導入や第三者機関による定期的な厨房、温泉成分検査など、衛生管理対策には万全を期している。 確かにコストはかかる。だが、失墜した信用を回復させる労力に比べれば、微々たるものだ。 従業員の自主性を引き出すトップマネジメントが必要だコンプライアンスの成否は、従業員1人ひとりの意識にかかっている。トップダウンで「無駄をなくせ」と言ってもダメ。 当社では、全従業員に月次決算を公表することで、従業員自身がコスト削減の重要性に気づき、行動するようになった。自主性がなければ改善も長続きもしない。 従業員の“気づき”を引き出す仕掛けも重要だ。たとえば、ヒントとなるようなことを囁いて待つ。しっかり対応すれば大いに褒める。この繰り返しで自主性が高まる。 昨年から部門長の権限を明確にし、社内分社化を導入した。部門長は社長と予算の折衝などを行い、各自がオーナーという意識で仕事をしている。こうした取り組みの結果、社内の風通しの良さはどこにも負けないと自負している。 顧客データの蓄積と情報の共有化で顧客満足度の向上をお客様の不満などをデータ化、共有化することで、顧客満足度を向上させようと、10年前、顧客別の接客サービスの内容をデータベース化した。 きっかけは、リピーターの情報を共有したいという、従業員ディスカッションから出た改善提案だった。 当初は手書きカードだったが、現在は、社内LANで、全従業員が情報を共有できるようになった。 新入社員が経験豊富な先輩の接客方法を参考にできることや自分の接客サービスを記録することで、反省や改善につながるなど、若手の成長を促す効果もある。 入力は強制ではない。従業員が自主的に行っているからこそ長続きしている。 常時実施しているお客様アンケートは、月2回集計し、結果を従業員に回覧するとともに、頂いた礼状を、従業員用通路に張り出すなど、士気を高める工夫もしている。 アンケートは、数値的な結果だけでなく、“生の声”である自由記入欄こそ参考になる。 時にはリピート率が低下する結果になることもあるが、顧客満足度は確実に上がっていると実感している。 企業概要
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