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トピックス

平成20年度版 全国の中小企業組合の設立動向
年間設立組合数は、605組合。1/4以上が「異業種」による設立。

平成19年度、全国で設立された中小企業組合は605。前年の827組合に比べ、大きくその数を減らした。企業の開業率と廃業率の逆転が続く中、中小企業の数が減少していることなども背景にあると思われるが、設立数の減少は、必ずしも中小企業組合による共同事業の重要性の低下を意味するものではない。

近年では、社会の要請を反映して、環境・リサイクル、地域振興や介護・福祉に取り組む組合も多く設立。また、新たな創業ツールとしての企業組合もしっかりと定着している。

トピックスでは、全国中央会が毎年とりまとめている「中小企業組合の設立動向」の平成20年度版を基に、全国の設立動向を紹介する。

全体の動向

組合設立・解散数の推移

年間解散組合数は、減少傾向

中小企業組合の新規設立数は、昭和50年代には1,000組合を超えていたが、60年代に入り1,000組合を割り、62年度には815組合にまで落ち込んだ後、800組合台で推移。

しかし、平成3年度に900組合台に戻し、翌年度には1,003組合と昭和59年以来8年ぶりに1,000組合を超え、組合の新設は再び増勢に転じた。

その後、900組合台を推移したが、平成10年度に792組合と初めて700組合台に落ち込んだ。平成11年度以降は、800組合台を維持していたが、19年度は大幅に減少し、605組合と昭和4年の調査始まって以来初の600組合台となった(図表1.)。

一方、組合の解散は、昭和59年度から63年度まで600組合を超えていたが、平成元年度から3年間は、500組合台で推移。平成4年度には414組合と昭和58年以来9年ぶりに400組合台にまで減少した。

しかし、翌年から、再び解散が目立ち始め、7年度681組合、8年度871組合と増加。平成9年度以降13年度までは、10年度の797組合を除き800台後半で推移した。

14年度には1,138組合と調査開始以来最高の件数となったが、近年は減少に転じ、18年度972組合、19年度は814組合と組合の解散に歯止めがかかった格好である。

図表1. 組合種類別新設組合の推移

(拡大図を見る)

(資料) 都道府県中央会・全国中央会「組合設立・解散状況調査」(以下出所の記載のない表は同じ。)
(注)
1.計の下段は、新設組合数の対前年度増減率(%)。
2.「協同組合連合会」には火災共済協同組合、信用協同組合の連合会は含まない。

会社への組織変更の状況

会社への組織変更は33組合

平成19年度に組合から会社への組織変更は33件。その内訳は、事業協同組合から株式会社への組織変更が19件、協業組合から株式会社が9件、企業組合から株式会社が5件となっている。

組織変更制度ができた平成12年から20年3月末までの会社への組織変更は合計322件。これを業種別にみると、製造業が111件(衣服・その他の繊維製品製造業14件、食料品製造業14件、木材・木製品製造業12件など)と全体の3分の1を占め、サービス業、小売業がともに63件でこれに続く(図表2.)。

都道府県別では、北海道が38件で最も多く、次いで東京都が19件となっている。

図表2. 会社への組織変更の業種別状況

純増減組合数の推移

純増は企業組合のみ

純増組合数は、昭和62年度までは年々減少していたが、同年度を底に増加に転じ、平成4年度には589組合と昭和58年度以来の大幅な増加となった。

しかし、平成5年度以降、解散組合が増加したこともあって、5年度420組合、6年度362組合、7年度222組合と純増組合数の大幅な減少が続き、8年度には解散組合の急増により、調査開始以降で初の純減(8組合)となった。

その後、9年度は36組合の純増となったものの、12年度を除き、一貫して「多死少産」の状況にある。

組合種類別でも、事業協同組合、商店街振興組合、信用組合、商工組合、協業組合などで純減が続く中、企業組合は、11年度を境に純増に転じ、現在まで純増を保っている。しかし、19年度は設立数の著しい減少から1組合の純増に止まった(図表3.)。

図表3. 組合種類別純増減組合数の推移

(拡大図を見る)

新設組合の業種別・規模別構成

4分の1以上が異業種による設立

平成19年度の新設組合数を業種別にみると、「異業種」の157組合が最も多く、「製造業」133組合、「建設業」80組合、「サービス業」77組合、「運輸業」53組合がこれに続く。

新設組合の業種別構成比を昭和55年度と比較すると、同年度には「製造業」、「卸・小売業」の割合が両業種合わせて56.1%と半数を超えていたが、平成19年度には29.6%とほぼ半減。特に「卸・小売業」は、昭和55年度の35.0%から7.4%へと5分の1近くにまで減少している。

一方、「異業種」、「サービス業」の割合は増加し、両業種の合計は昭和55年度には14.4%と2割にも満たなかったものが、平成19年度には38.2%と大きく増加。

中でも「異業種」の割合は、55年度の4.3%から、19年度には25.9%と4分の1を占めるまでになった(図表4.)。

規模別の構成をみると、組合員が10人以下の組合は、76.9%(製造業では87.2%)、20人以下では90.3%に上る。

一方、組合員が100人を超えた新設組合は、僅か1.8%(既存組合・非製造業では18.8%)に止まっており、少人数による組織化が顕著となっていることが分かる。

少人数化に伴い、出資金額も少額化しており、300万円未満の組合が75.7%(100万円未満は30.1%)と新設組合の4分の3以上を占めた。

図表4. 新設組合の業種別構成(昭和56年3月−平成20年3月)