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特集

中小企業におけるコンプライアンスの確立と支援

組合におけるコンプライアンス支援の現状と支援に向けての提言

コンプライアンスの基本的認識

アンケート調査の結果によると、多くの組合が法令遵守と企業倫理レベルの向上がコンプライアンスの目的であると認識。さらに、社会貢献活動や環境保全などの社会的な使命を果たすことも重要であると考える組合も多い。

また、ほとんどの組合で、企業の法令違反や不祥事の最大の原因として、経営者の意識や倫理観の欠如を挙げるとともに、経営環境や取引条件が厳しいことも原因として考えており、組合としてもコンプライアンスの現実的な難しさを認識している。

組合員企業のコンプライアンス活動の現状と経営者の役割

組合では、コンプライアンスに関する具体的な活動をしていない組合員企業が多いと認識しており、今後、組合員企業は、コンプライアンス基本方針の作成やそれを従業員へ周知徹底すべきであると考えている。

また、組合では、組合員企業は、法令遵守の徹底に加えて、企業倫理の向上や社会貢献や環境保全へ取り組むべきであると考えているが、特に食料品関連組合では、企業倫理のレベルを高めることが重要だと考えている組合が多い。

そして、組合員企業がコンプライアンス経営に取り組む課題としては、経営者の意識改革が最も重要であり、コンプライアンスに関する知識やノウハウの不足よりも重視している組合が多い。

組合が、組合員企業のコンプライアンスを支援しようとする場合、特に現状、コンプライアンスに関する活動を行っていない組合員企業を支援する場合には、まず、組合員企業の経営者自身との情報・意見交換といったコミュニケーションが重要になると思われる。

組合におけるコンプライアンス支援の現状

組合員企業からコンプライアンスに関する相談を受けた実績のある組合は限られ、コンプライアンスの必要性の周知徹底や具体的な支援活動は、ほとんどの組合で行っていないのが実情である。

このため、多くの組合では、組合員企業のコンプライアンスに関する支援ニーズは高くないと認識している。しかし、支援ニーズは高くなくても組合員企業からの要望があれば支援したいとするなど、支援に前向きな組合は全体の約6割ある。

一方で、組合として出来ることは限られているとする組合や、組合が支援する必要はないとする組合など、組合が支援することは困難であるとする組合も約4割ある。

支援の際には、組合にコンプライアンスに関する十分な知識やノウハウがないことが課題になると考えており、さらに事務局の人手不足などを懸念している組合もある。

組合におけるコンプライアンス支援策

このように組合には、コンプライアンスに関する相談実績や支援活動実績がなく、また、知識やノウハウの不足している状態であるため、中央会や公的機関は、まず、組合員企業のコンプライアンス経営推進を支援しようと考えている組合に対しては、各種情報の提供や勉強会・セミナーの開催 など、組合に不足するコンプライアンスに関する知識やノウハウを提供することが期待されている。中小企業が上手くコンプライアンス経営を実践している先進事例の紹介は、組合にとって非常に有効な情報となりうる。

また、組合が課題として挙げているように、組合自体にコンプライアンスに関する知識やノウハウがないことから、中央会や公的機関が直接、組合員企業に情報を提供したり、セミナーを開催したりすることで、組合と組合員企業がともにコンプライアンスレベルの向上を図り、組合として支援できる項目を模索していくことも現実的であろう。

さらに、組合員企業からコンプライアンスに関する個別の相談があった場合は、組合事務局だけでは十分な対応ができないことも想定されることから、中央会や公的機関に相談窓口(担当者)を設置して対応したり、回答・対応できる専門家を紹介したりすることができる仕組みづくりも有効となる。