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シリーズ「くみあい百景」

木質系総合リサイクル事業で循環型社会に貢献

静岡製材協同組合

住所:〒421-1221 静岡市葵区牧ケ谷2310
理事長:望月信幸
組合員:19社
設立:昭和29年10月1日
TEL:054-278-9694
FAX:054-278-9694

 

組合設立経緯

杉山工場長と望月理事長(右)

大量生産・大量消費・大量廃棄の時代からの脱却を目指し2000年循環型社会形成推進基本法が成立した。

循環型社会とは、限られた資源を再利用しながら有効に活用し、環境への負荷をできる限り減らした社会。具体的には廃棄物の発生の抑制、製品の再使用・再利用することをいう。

一方、業界によっては、法が成立する以前から、当然のように循環型社会に対応する活動を行っ ているところがある。その代表格は木質関係を扱う業界で、中でも社会的使命感をもって木質系総 合リサイクル事業を展開する静岡製材協同組合を今回取材し望月信幸理事長と杉山敏允工場長に面談した。

静岡県は、富士市を中心に製紙業が盛んな県であり、同業界から製紙原料となる木材チップの供給要請があり、製材業者としても、作業工程から派生する未利用木材の有効利用を図りたいとする組合員の思惑が一致し昭和29年10月1日旧静岡市内の製材業を営む事業者72名で組合設立。

なお、木材チップ生産は工場完成後の昭和32年から開始した。

その後、組合員は安価で、かつ原木から半製品輸入に変化した外材の影響を受け多くの組合員が廃業し、現在19名と大幅に減少しているが、事務所1棟、工場3棟、倉庫2棟、社宅1棟、木質バイオマス発電施設を保有し、生産品目にオガライト、セルシンを加え事業規模は拡大している。

木材チップ生産事業

本事業は、組合の主要事業である。

林業を兼業とする組合員からの林地残材や製材業の加工工程から派生する未利用木材を受け入れ組合工場で製紙用、ボード用の原料チップに加工し富士・島田市内の製紙工場へ納めている。

平成20年度実績、生産量で対前年度比104%増の1万869トン、売上高で109%増の1億7,913万円を計上。

その背景には、新築住宅着工件数が減少傾向にある厳しい環境下にあっても、林業を兼業とする組合員から森林整備による間伐材を予想外に受け入れられたことが挙げられる。

他方、製紙会社へ安定的に原料を供給できたことは、事業パートナーとしての信頼関係の維持強化に繋がっているという。

オガライト生産事業

オガライト燃料

オガライト(人工薪)は、主にお風呂の湯沸し燃料として使われる。東海道筋で唯一の生産工場でもある。

現在燃料としては、電気、ガス、石油が主流であるが、いまだに木質燃料に“こだわり”をもって入浴を楽しむ消費者がいるという。

その理由は、お湯に触れる湯加減が肌を刺すような熱さでなく、やわらかな感触となること。入浴後、湯冷めしにくいこと。お湯が冷めにくいことをもって「風呂は、これが一番!」と強いこだわり者の真髄がここにあるという。

組合としては、このような消費者に、また木材資源の有効活用として今後も生産を継続するという。

セルシン生産事業

セルシンは、バイオトイレに使用する乾燥オガくず(菌床)で、バイオトイレは排泄物を分解して無臭化し堆肥として活用できるので、正に循環型社会が目指す推奨製品であると杉山工場長は熱く語った。

しかし、都市部では下水道が整備され、田舎でも合併浄化槽が普及し苦戦しているが、依然として注文はあり、その需要に応えることが、組合の使命であるという。

バイオマス発電事業

バイオマス発電タービン

本事業は、主に再利用しにくいバーク(樹皮)を燃料とするボイラーから蒸気を発生させタービンを回し自家発電する事業である。

組合工場の動力として、現行消費電力の約45%を供給しているという。

なお、この施設には、毎年行政・大学等から視察申込があり、平成20年度は15団体104名が県内外から訪れている。

また、近隣の高校生も組合事業を研修対象として大勢訪れた。

その際、杉山工場長は慣れないパソコンで資料を作成したが、木質系総合リサイクルへのこだわりの基本理念である「木材産業と社会との共生」が、簡潔に的確にまとめてあった。