特集

誌上暑中見舞交換
日本の世界遺産

屋久島(鹿児島県)

屋久島(鹿児島県)1993年登録

大隅半島の南南西約60kmの海上に位置する屋久島は、周囲約132km、面積504.88km2。鹿児島県では、奄美大島に次ぎ2番目の大きさを誇る。

中央部には九州最高峰の宮之浦岳(1936m)がそびえ、1000m級の山々を擁することから「洋上のアルプス」とも称される。宮之浦岳山頂付近の平均気温は約5℃、積雪は60cm以上。国内で積雪が観測される最南端である。日本百名山の一つである宮之浦岳を含む屋久杉自生林や西部林道付近など、面積の約21%にあたる107.47 km2が1993年12月、姫路城、法隆寺、白神山地とともに日本初の世界遺産に選ばれた。

原始林には縄文杉をはじめ樹齢数千年の屋久杉の大木が自生。「ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの」などが登録の理由だ。

島のシンボル、縄文杉は樹齢7200年ともいわれ、現在確認されている屋久杉の中では、最大にして最長寿の巨木である。

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琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)

琉球王国のグスク及び関連遺産群(沖縄県)2000年登録

2000年12月に世界遺産の仲間入りした「琉球王国のグスク及び関連遺産群」は、沖縄本島のおもに南部を中心とした地域に点在する、琉球王国の史跡群の総称。

今帰仁城跡、座喜味城跡、勝連城跡、中城城跡、首里城跡、園比屋武御嶽石門、玉陵、識名園、斎場御嶽の9件からなる。

グスクとは、古琉球(ぐすく)時代の遺跡のことで、一般的には城と訳される。本土に見られるような方形ではなく、地形にそった美しい曲線を描いているのが特徴。

明治12年の沖縄県設置までは琉球王国という一つの国だった沖縄。その都として栄えた首里は、那覇を見下ろす高台に位置し、王国最大の建造物である首里城正殿や守礼門の極彩色の装飾など、琉球王国往時の繁栄ぶりを今に伝えている。

なお、戦前は正殿などが国宝であったが、1945年の沖縄戦などにより破壊され、わずかに城壁や建物の基礎などの一部が残るのみ。復元された建物や城壁は世界遺産ではない。

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今回採り上げた9件のほか、「白神山地」、「京都の文化遺産」、「古都奈良の文化財」、「法隆寺地域の仏教建造物」、「紀伊山地の霊場と参詣道」も日本の世界遺産。

さらに、「富士山」をはじめ、「小笠原諸島」、「長崎の教会群とキリスト教遺跡群」、「富岡製糸工場と関連する産業遺産」など9件が政府公認候補として、登録を待っています。

世界遺産への登録は、国際的知名度の向上や観光産業への貢献など、大きなメリットがある一方、観光地化により、本来の目的である遺産保全の妨げになるという側面もあります。

今いちど、その意義を見つめ直し、人類共通の財産をいかに後世に伝えるかを考えたいものです。