静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2008 July No.656 700年の歴史と伝統販路拡大と存在をアピール静岡県東部質屋協同組合
庶民金融の中心鎌倉時代。貨幣経済の発達とともに始まったと言われる質屋。 700年の歴史と伝統を、今に伝える。 現在、その経営は、「質屋営業法」に基づいて保護され、昭和40年代、サラリーマン金融などの、消費者金融(「出資法」に基づく。)の出現までは、庶民金融の中心であった。 質屋の特徴は、他の金融機関と異なり、質草(品物)を預け、その質草の価値の範囲内で、お金を貸し出すところにある。 期限内に質料(利息)と元金を支払えば、預けた質草が戻る仕組みになっている。万一、貸付金の返済が不可能になっても、返済義務は発生しないが、質草を取り戻すことはできない。この質草は流質品と言われ、店頭や市場などで売買される。 7月8日は「質屋の日」当組合は、東部地区の質屋業者が、業界のイメージアップと取引範囲の拡大を目的に、平成9年9月に設立された。 バブル崩壊以降、消費者金融業界は、自動契約機の導入、テレビコマーシャルによるイメージアップ戦略などで、積極的に業容拡大につとめてきた。 「消費者金融が比較的簡単な審査で借りられるのと比べ、質屋は質草が必要であったり、暗いイメージが伴うなど、利用者離れが加速していた。こうしたイメージを払拭し、新しいニーズにあった事業を行うため、昭和29年設立の任意組織を法人化した」。川村理事長は、設立理由を述懐する。 組合は、古物営業法の許可を取得し、組合員の流質品の委託販売などの共同事業を、積極的に展開している。流質品の委託販売は、組合員や専門業者を対象とした、「総合市場」。一般消費者を対象とした、「質流れバーゲンセール」の2種類に分かれる。 総合市場は、県質屋組合連合会や県中部質屋協同組合と連携して、毎月、開催している。「全12回のうち、当組合の主催が8回と最も多い。流質品の多くは、中古市場で人気のある、輸入ブランドバッグ・高級腕時計・貴金属類などが主流。使い捨て時代を反映し、電気製品や着物類の流通は少なくなっている」と理事長は語る。 全国質屋組合連合会では、7月8日を質屋の日と定めている。質流れバーゲンセールは、毎年、この時期に開催している。 「セール開催をテレビや新聞で積極的に告知。質屋の存在をアピールするとともに、利用者への利益の還元を最優先している。信頼のおける流質品を破格な価格で提供、売上げの一部はチャリティとして愛の都市訪問やユニセフなどに寄付を行っている」。理事長は、存在感アピールの必要性を強調する。 新感覚の質屋経営これまで質屋の店舗は、駅や盛り場の裏通りなど、人目につきにくい所が適地とされ、外観も大なのれんを掲げるなど、あまりお洒落とは言えない形態であった。 しかし、最近では、高級ブランド品の取引が主力になるにつれ、店舗の内外装の近代化に取り組む店舗も増えてきた。 「従来と同じ経営手法では、益々取り残されていく。若い女性が気軽に来店できるような店づくりが必要。幸い、当組合には青年部組織もあり、高級ブランド店のような内装や、流質品のインターネット販売など、新感覚の質屋経営に取り組む質屋が増えてきた」。理事長は、経営に変化を求める。 質屋業界は、後継者不足難などから、廃業や転業が相次いでいる。その一方で、消費者金融や大手質屋チェーンの、地方への進出など、競争は激化している。 「50万都市には大手質屋が進出しており、今後、本県への進出も予想される。質屋の特長である鑑定技術を磨き、魅力ある店舗づくりを行うとともに、さらなる業界の結束強化も必要である」と理事長は、気を引き締める。 防犯体制を強化昨今、全国各地で、これまでに想像がつかなかったほどの、凶悪犯罪が横行している。 特に質屋は、盗品の買入、コピー商品、強盗など、犯罪との結びつきが深い業界である。 「犯罪は極力排除していかなければならない。組合では、東部地区の10の警察署と防犯懇談会を開催し連携強化を図り、安全や信頼確保に力を入れている」。 理事長は、県防犯協会連合会の理事の要職をつとめるなど、質屋の灯火を消さぬよう、積極的に防犯活動の強化に取り組む。
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