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視点・指導員の現場から

東京ディズニーリゾートに見る企業運営の秘訣

自らの敵は内にあり

ものが売れず、少子高齢化が加速するこの時代に、人を惹きつけ続ける。

オリエンタルランド社が運営する東京ディズニーランドは、開園25周年を迎えたが、この春に訪れた時も目白押しの記念イベントに園内が沸きかえっていた。

東京ディズニーリゾート(ディズニーランド・シーの総称)は、毎年2500万人強を集客し続ける。この数は、本場米国のそれを倍程も凌ぎ、有料テーマパーク中、世界第1位。さらに、観客が園内で購入するグッズの年間売上は700億円にも上り、銀座三越や松屋のそれに匹敵する。

これだけの繁栄を続けながらも、「永遠に完成は無い」として、自らが完成した途端、陳腐化や崩壊が始まることを、常に自戒している。東京ディズニーリゾートの敵は内にありと、いわれる所以である。

企業は、公器なり

企業30年説という言葉が飛び交う中で、25周年を迎えた東京ディズニーリゾートが、名実ともに世界一に登りつめて、なおも発展・進化し続けるその成功要因を集約すると、原点に、貧しい生い立ちながらも「人々に夢と感動を与えよう」とした創業者の精神、ディズニー・スピリッツを公器として受け継ぐウォルト・ディズニー社の存在、それをオリジナルなノウハウで具現化するオリエンタルランド社の優れたマネジメントの賜物に他ならない。

例え、施設等ハード面が良くても、底を支えるキャスト(従業員)に「お客様に心から楽しんで頂きたい」という思いがなければ、仏作って魂入れずとなり、かつてのハウステンボスの様にすぐに廃れてしまう。

しかし、東京ディズニーリゾートでは、よく観客が心からそこを楽しみ感動し、キャストに感謝する多くの場面が見られ、リピーター率97.5%を超える。これが、キャストの誇りや動気付けとなり、更なるサービスレベル向上の原動力となっている。これらが、継続成長を実現している最大の要因であろう。

企業は、人なり

明確な企業理念やコンセプトのもとに、サービスを提供するキャストのモチベーション・アップを図り、全て現場を任せる。そして、キャストと観客が一体になり喜びを分かち合う。その目的達成のため日々、体系化した研修計画・マニュアル化の研鑛にも余念が無い。

同社の従業員意識調査によると、「喜びと誇りを持って働いている」との回答が最も多いという。

仮に他企業の成功事例によるシステムやマニュアルを表面的に真似たところで、根本的な部分で企業目的を確立する努力をせねば、機械的・事務的・義務的な作業となってしまい、人々に感動を与えるような仕事にはならない。

「企業目的を明瞭にし、会社が行うことに従業員に至るまで興味を持たせ、一緒にワクワクしながら希望を持って取り組める企業姿勢、これこそが最も大切」であり、東京ディズニー王国繁栄の裏にその成功のヒントを垣間見るような思いがする。

(寿)