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クローズアップインタビュー

来年静岡で開催される「全国建具大会」の実行委員長
組織改革、後継者育成にも明確なビジョンで臨む

静岡県建具工業組合
谷口泰幸 理事長

来年6月、静岡県で39年ぶりに開催される「全国建具大会」。県建具工業組合の理事長として、その実行委員長を務める。

「富士山静岡空港が開港し、静岡で開催するには絶好の時期」と諸手を挙げて開催を引き受けた。

全国各地から1300人の建具業者が集い、3日間にわたり全国総会、業者大会、研修会、青年部総会が開かれる。合わせて開催する「日本の建具展」には、選りすぐられた匠の作品150点が出展される、文字通り業界を挙げての一大イベントだ。

39年前に本県で開かれた全国大会にも参加。その印象が強烈に残る。

「3000人が集まり、大会を静岡、宿泊地は熱海、展示会は浜松と会場を分けて実施。熱海から浜松までバス80台を連ねて移動し、開催を祝う花火大会が開かれるなど、お祭りムード一色の華やかな大会だった」。

1年後に控える全国大会に向け、そのプレ大会として、中断していた県建具フェアをこの6月、6年ぶりに開催。県内の組合員から54点に及ぶ力作が出展された。

「僅かな準備期間だったにも拘らず、組合員の意気込みを感じる優れた作品が多かった。青年部を中心に全国大会への盛り上がりは、日を追うごとに高まっている」と確かな手応えを感じる。

父も理事長経験者。親子二代にわたり県建具工組のトップを務める。

「根っからの職人だった父に代わり、事務を補佐していたので、組合の内情は昔からよく分かってたよ」。

最盛期に2000人を数えた組合員は、十分の一を切った。

「組合員が減少する中、20年前と同じことをしていてはダメ。広域で効率的に事業を展開するために、支部の集約など組織改革を進めたい」。

懸案の後継者対策については、
「家業とはいえ、継ぐことに疑問を感じる若手が多い。技能修得までに時間がかかるのも、今の若者には敬遠されがちだ。待遇面を含めた技能士の地位向上こそ、後継者育成と若手の自信につながる」と明確なビジョンをもつ。

大学の理工学部で人間工学を学び、人工衛星にも使用されるマイクロモーターを製造する企業に就職したが、倒産。その後、家業を継ぐべく、大阪へ木工事業の修業に。大阪万博のパビリオン建設などに携わり、30歳で地元熱海に戻った。木工事業の経験を活かし、建具に加え、建築やリフォーム工事と事業を拡大した。

大学時代に主将を務めたバレーボールをはじめ、スキー、登山、野球、ボウリングとスポーツ万能。

「数年前に腰を痛め、今はもっぱらテレビ観戦」と苦笑する。