“ばか者”が、うねりを起こす
組合事務局代表者会議
“スーパー公務員”木村氏講演
静岡県中央会・県職員協会
県中央会主催(県職員協会共催)による事務局代表者会議が8月26日、静岡市の静岡グランド
ホテル中島屋で開催され、組合職員など120人が出席した。
講演会では、農林水産省大臣官房政策課 木村俊昭企画官が「“ばか者”が、うねりを起こす」をテーマに地域活性化への思いを語った。
講演要旨
農林水産省大臣官房政策課
企画官 木村 俊昭氏
1960年生まれ。小樽市の職員時代に多くのイベントを成功させ、小樽市に活気をもたらせた手腕が高く評価され、平成18年、内閣官房・内閣企画官に迎えられた。
今年4月に農水省に移った後も、“まちおこしの伝導師”として全国を飛び回り地域の再生をサポートする。内閣府地域活性化伝道師。
戦略的なシステムデザインが必要
「いろいろなことを試してみるのだが、地域に元気が出ない」と各地で聞く。しかし、本当にやらなければならないことは、それほど多いわけではない。
例えば、商店街を活性化させるために行う空き店舗対策やイベント。これらは関連付けなしにバラバラに行われがちである。このため、個々の取り組みとしては良いが、全体としてはまとまりに欠け、効果が上がらないことが多い。したがって、地域の活性化には、“部分の最適化”ではなく、“全体の最適化”を図るための戦略的なシステムデザインが欠かせない。
他地域で成功した事例をそのまま取り入れようとすることは避けたい。そこで成功したものは、その地域のニーズに合致したものである。他地域でそのまま行っても効果が薄いことに注意すべきである。
まずは地域の中から地域おこしの柱となりそうなものを見つけること。何かを売り出すにしても、外から人を呼びこむにしても、その地域にあった、実現可能なものでなければならない。
“起業”を促す仕組みづくりも重要だ。良い地域資源があればそれを活かして業として成立させる。業をおこすためには、金融をはじめとする地域ぐるみのサポート体制も欠かせない。そして、何よりも必要なことは一度失敗しても再チャレンジできる仕組みを整えることだ。こうしたシステムを地域の中でしっかりとデザインしなければならない。
地域の担い手をどう育てるかがカギだ
深刻な過疎化、人口減に悩む地域は多い。働く場がないため職を求め若者や働き手が地域から流出していく。これを食い止めるためには、地域の担い手をどう育てていくかにかかっている。
若者が小中学生のときから、地域の産業や歴史、文化に関らせる機会をつくることが重要だ。
地域との関りがなければ、その子が成長して他地域に行ったときに、自分のまちの良さや他の地域との違いが分からない。生まれふるさとにも愛着がもてなくなる。小さいときから地域との交わりをもち、地域を学ぶことで、地域への愛着は育まれるのである。
「よそ者、若者、ばか者」が地域を活性化する
地域を活性化するためには「よそ者、若者、ばか者」が必要だ。
本来、地域資源はそのまちに住む人々が探し出すものである。しかし、そこに住む人々にとっては、当たり前過ぎて気づかないことが多く、見逃されがちである。その点、外からきた“よそ者”はその違いや良さに気づきやすい。
“ばか者”とは、良く言えば情熱家である。地域活性化は一朝一夕に進むものではない。いくつもの壁に当たっても、粘り強く、モチベーションを維持し、やり続けることができるかにかかっている。情熱をもった“地域活性化ばか”の存在こそ、カギとなる。