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トピックス

企業活動を継続するために
新型インフルエンザ対策の「事業継続計画(BCP)」策定のすすめ

事業継続計画について

1.事業継続計画(BCP)の概要

事業継続計画とは、企業が地震や大火災、インフルエンザの大流行などの緊急事態に備え、日頃から『緊急時にどの事業を継続させ、そのために何を準備し、どのように継続するのか』を検討し、事業を継続するための対策などをまとめた計画のこと。

緊急事態により勤務可能な人員や部品・原材料の入手などに制約が生じることが想定される。こうした条件下でも事業を継続していくための対処方針を検討し、必要な経営判断をあらかじめ行うことが重要だ。

また、事前の対策を計画として定めておくことは、取引先などからの信頼向上にもつながる。

事業継続計画の主要項目

  1. 継続すべき事業の分析と対処
    1. 継続すべき事業は何か
    2. その事業を継続するために必要な業務は何か
    3. 制約を受ける資源は何か
    4. 代替手段など
  2. 有事の際の必要資金の確保
1.継続すべき事業の分析と対処

1.中核事業の特定

事業リスクが顕在化した場合、限られた経営資源で継続すべき事業を売上高、取引関係、将来展望などから検討し、具体的に特定する。その際に必要なのは、「制約のある条件の下で営業を継続するためにはどうしたらよいか」という観点から、各社の実情に即して検討することである。

2.重要業務の確認

受注維持、部品や原材料の確保、在庫管理、出荷のための輸送手段の確保、支払・決済手段の確保など、中核事業を継続するために必要な業務を確認する。

3.重要な経営資源の確認

中核事業を継続するための業務を遂行するために必要な経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報など)を洗い出す。

4.代替策などの検討

新型インフルエンザの発生により重要な経営資源に制約が生じた場合に備えて、「人」を確保するための対策や、在庫品の積み増しなどの代替策を検討する。

代替策の例

  • 新型インフルエンザの場合、事業継続のための対策として、必要な要員の確保が最も重要である。
  • 要員確保のための方策として、【1】複数班による交替勤務【2】在宅勤務【3】クロストレーニング(同一業務について複数の従業員が習熟しておくこと)などの実施が考えられる。

【1】複数班による交替勤務

従業員を複数の班に分けて交替勤務を行うことで、同時感染が避けられる。

※交替勤務の例

  1. 未発症の従業員を数班に分け、班ごとに勤務班と自宅待機班に分類。一定期間ごとに交替する。
  2. 就業している従業員(勤務班)の中から感染者が出た場合、自宅待機班が代替要員として就業する。

【2】在宅勤務

従業員が自宅のパソコンで業務を行うことで、人との接触機会を減らすことができ、従業員への感染を防止することができる。

【3】クロストレーニング

1人の従業員が複数の業務をこなせるようクロストレーニングを実施することで、万が一重要業務の遂行に必須の従業員が感染した場合でも、代わりの要員が対応することができる。

2.有事の際の必要資金の確保

新型インフルエンザによる事業リスクが顕在化し、通常の営業収入が確保できなくなる場合に備えて、その期間に発生する費用(従業員の給与、建物の賃借料など)を概算し、これをまかなうために必要な資金を確保する方策を考えておく。

地震などの自然災害の場合は、建物、設備などの復旧費用を想定する必要があるが、新型インフルエンザの場合は、通常の状態に戻るまでの間の運転資金を確保することがより重要となる。

2.事業継続計画の運用

1.事業継続計画の周知・徹底

事業継続計画を策定していても、従業員がその内容を理解していなければ、緊急時には機能しない。策定した事業継続計画の内容を従業員に周知・徹底しておくことは欠かせない。

2.事業継続計画のメンテナンス

策定した事業継続計画の前提(事業内容や新型インフルエンザの特性など)が変わることもある。策定した事業継続計画が現時点の状況に適合しているかを随時確認し、必要な見直しを行っていく。

【参考】中小企業庁の支援措置

中小企業庁では、今回の新型インフルエンザの流行により、旅館業など多くの中小企業の資金繰りへの影響が懸念されることから、影響を受ける中小企業を対象に、「金融支援対策特別相談窓口の設置」、「セーフティネット貸付の適用」、「既往債務の返済条件緩和等の対応」、「緊急保証の拡大」などの支援措置を実施していている。

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