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特集

第54回中小企業団体静岡県大会
検証!共同化戦略
変革スピードに対応する中小企業組合

県内で組合組織を活用し共同事業を活発に展開している事例

組合オークションによる共同購買の発展

静岡県中古自動車販売商工組合

 

  • 代表理事:澤田稔
  • 所在地:静岡市葵区南沼上 1859-2
  • 業種:中古自動車販売業
  • 組合員数:248名

中古車販売の合理化を目的に昭和54年に設立した当組合は、中古車の現物を確認する従来の「現車」方式でなく、IT技術を活用した「車輌の映像化」オークションシステムを平成12年からスタートさせた。このシステムは、全国のオークション登録店が、保有している中古車個別情報をデータ化した画像で出品し、競りを組合オークション場及びインターネット上で応札を行うものである。このシステム導入により、在庫や搬送などの流通コストの削減を実現するとともに、出品車両数の増大により希少価値のある車や人気車等多様な顧客ニーズへの対応を可能とし、組合員企業の運営や業務面の改善に大きく役立っている。これにより、組合員は、市場の車両価値の変動による在庫リスクを軽減させ、良質の仕入れチャネルの確保や開拓が可能となった。オークション出品台数は3期連続で3万台を突破、大手企業の参入により厳しい経営環境が続いているが、組合員のニーズに対応した共同購入の効果が現れている。

 

共同物流事業によるコスト削減を実現

協同組合小糸製作所協力会

 

  • 代表理事:水野一保
  • 所在地:静岡市清水区大内 256-1
  • 業種:製造業(自動車部品)
  • 組合員数:77名

組合員は、自動車ランプの世界的トップメーカーである(株)小糸製作所の部品納入業者で構成され、各社で実施していた物流の効率化を図った。生産管理において“かんばん方式”といわれる「必要な物を、必要な時に、必要なだけ納入する」というジャスト・イン・タイム物流に対応するため、物流効率化法の認定を受け平成9年に組合配送センターを建設。多頻度小ロット納入体制の実現に向け、共同物流システムを構築した。

共同配送の実施により、組合員企業では多頻度納入による在庫の低減、オンライン化による入出庫作業の低減と生産指示・出荷指示の迅速化など、生産管理において大きな改善効果が現れ、1/3以上の大幅な物流コスト削減が実現された。

(株)小糸製作所にとっても、遅れ部品の解消・生産の平準化・在庫低減といった効果が現れ、組合として親会社のニーズに応えたことによるパートナーシップの形成にも大きな効果をもたらした。

 

人材養成事業等によるソフト事業の展開

磐田さぎさか工業団地協同組合

 

  • 代表理事:芝原利一
  • 所在地:磐田市匂坂中 1600-1
  • 業種:製造業(異業種)
  • 組合員数:22名

組合では、高度化資金を完済し、インフラ整備という所期の目的を達成。新たな展開として、組合員の共通課題に焦点をあてたソフトな共同事業を模索した。まずは、次代の労働力不足に備えた共同求人事業。新卒者の採用が困難な組合員のためホームページを作成し、組合と組合員のイメージアップを図るとともに組合員紹介用DVDを制作し、地元の職業高校を中心に配布。組合員全体の新卒採用者は、大幅な伸びを示した。次に、組合員役職員等の人材養成。組合員の従業員を対象にした集合研修や管理者研修を行い、従業員資質の向上を図る中で、団地内企業間でのコミュニケーションが深まり、技術交流や業務提携などの効果を得ている。さらに、中小企業1社では策定が難しい事業継続計画(BCP)を、共同研究により青年部を中心に、いち早く実行。BCP策定の基礎知識の取得、ノウハウの共有、共通する課題等の意見交換を行い、組合員のBCP策定のレベルアップや後継者養成にも効果が現れている。

 

共同代払い事業で組合員と取引先双方の利益を実現

静岡市水産物商業協同組合

 

  • 代表理事:小池保之
  • 所在地:静岡市葵区 流通センター1-1
  • 業種:鮮魚小売業、総合スーパー
  • 組合員数:282名

当組合の組合員は県中部地域の小売店やスーパーで、水産物等を同地域に安全かつ安定的に供給する使命を担っている。組合では長期にわたって共同精算会社による代金決済・精算代行を行ってきたが、1.契約の都度保証人が必要 2.共同精算会社に代金決済を外部委託することによる経費の増加 3.組合員に支払われる奨励金減少への懸念等の問題を解決するため、平成17年度から共同代払い事業を開始した。

この事業よって取引先である卸・仲卸業者に組合員の仕入代金が確実に支払われることとなったほか、組合員は共同精算会社による代金決済を行っていた当時より代金納入期限が緩和され、また決済期日を守った際の奨励金が確保されるなど、大きなメリットを享受している。

さらに今年度は活路開拓事業に取り組み「街の魚屋」の新たなビジネスモデルを研究しており、組合員に対する教育情報提供事業にも注力している。