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特集

組合による
「地域ブランド」(地域団体商標)活用のすすめ

近年、地域が誇る農水産物や伝統工芸品などの特産品をブランド化し、地域の振興や活性化に結び付けようとする取り組みが活発だ。こうした動きを受け、平成18年4月、地域ブランドを適切に保護することなどを目的に、商標法が改正され、一定の要件の下で、地域ブランドの団体商標登録が認められることになった。

8月末現在、全国の出願件数は833件、登録査定された「地域ブランド」は400件を超えるなど、高い関心が寄せられている。本県でも、「静岡茶」や「沼津ひもの」、「駿河漆器」など13点が「地域ブランド」に登録されている。

特集では、昨年度、本会が実施した構造改革支援ビジョン策定事業の調査結果をもとに、地域ブランド登録の実態やポイント、課題、地域ブランドを活かした地域振興の可能性などをまとめた。「地域ブランド」の登録に取り組もうとする際、お役立て頂きたい。(資料提供:特許庁ほか)

「地域団体商標制度」とは

地域ブランドと商標制度

近年、特色ある地域づくりの一環として、地域の特産品と他地域のものとの差別化を図るための“地域ブランド”づくりが全国的に盛んだ。

地域ブランドとは、地域の自然的条件を活かした農林水産物や食品などの特産品、地域に歴史的な関連のある伝統的工芸品、地域で提供される特色あるサービスなどを、地域の複数の事業者が、地域名を付したブランド名を用いて販売・提供し、他地域の商品やサービスとの差別化を図って、その付加価値を高めようとするもの。

一般的に、地域ブランドの知名度が高くなると、ブランドの信用に便乗しようとする地域外の商品やサービスが現れてくる。悪質な場合は、品質の低い商品やサービスに同一または類似のブランド名を使用することによって、地域ブランドの信用が失墜する事態が生じることもある。

これらを防ぐためには、ブランド名について商標登録を受けることが効果的だ。

従来の団体商標制度の課題

従来の商標法でも「団体商標制度」を利用すれば、組合などで商標を取得することは可能であったが、「地域の名称と商品(役務)の名称」を組み合わせた商標を登録することは、難しかった。

中には、全国的な知名度を獲得し、一定の要件を満たした、“夕張メロン”、“西陣織”、“宇都宮餃子”のように商標登録される場合もあったが、全国的な知名度を獲得するまでの間、他人の便乗使用を排除することが極めて困難であった。

このため、地域の名称や商品(役務)名に、特徴のある図形を組み合わせることで商標登録を受ける事例が多かった。

しかし図形入りの商標は、図形部分が異なれば、原則としてこれらの商標が類似とは認められないことから、他人の便乗使用を有効に排除できない。

こうした事情を踏まえ、全国的に十分な知名度を有しているとまでは言えない段階でも、「地域の名称と商品(役務)の名称」を組み合わせた商標を登録できるよう平成18年4月1日に「商標法の一部を改正する法律」が施行され、地域団体商標制度(地域ブランド)がスタートした。

改正法施行から、2年半を経過した平成20年8月末までに全国で833件が出願。9月16日現在で402件が登録査定されている。うち、本県では出願21、登録査定13(重複案件含む)となっている(図表1)。

図表1 静岡県内の地域団体商標の出願、登録査定