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視点・指導員の現場から

備えなくとも憂いなし?

自動車メーカー操業停止

この5年間で非常に規模や被害の大きな地震が発生しています。2004年に中越、05年に福岡西方沖、07年に能登半島と中越沖地震、そして今年は十勝沖と宮城内陸など毎年のように立て続けに大地震が発生しています。

これらの中で、産業界に大きな波紋を広げたのが中越沖地震です。

新潟県柏崎市内にある、自動車ピストンリングメーカー「リケン」の工場が被害に遭い、部品供給が受けられなくなった国内全ての自動車メーカーの操業が1週間停止してしまいました。

住民への被害が大きかったということより、部品メーカー1社の操業停止という事態がもたらした、産業界への影響の大きさに驚いてしまいました。

これは自動車メーカーが生産活動を行う上で、部品在庫を最小限に抑え、迅速かつ円滑に部品を供給される体制を作ったからです。

このようなことは自動車業界だけのことではなく、ほとんどの業界でコストダウンを目的とする合理化を進めた物流体制の結果です。

BCP?

当県は工業製品出荷額が全国で3位と、日本の製造業において重要な工業集積地域です。

そのため県では、一昨年度から災害時の被害を最小限に抑え、事業の早期再開・継続ができるよう事業継続計画(BCP=ビジネス・コンティニュー・プラン)の策定・運用を行うよう支援をしており、BCPの必要性の普及・啓蒙、静岡県独自のモデルプランの作成、専門指導員の養成等を行っています。

BCPには4つの要素(人材・資金・設備・情報)があります。

人材は、人命=安全の確保と、有事の際に各分野を担当する者を決めておくこと。

資金は、そのものズバリお金で有事の際の当座の運転資金です。

設備は、生産活動に欠かせない機械設備で、損傷時の代替設備の予定や早急な修理の手配です。

情報は、仕入・生産・在庫・顧客等の管理をほとんどの中小企業者でもデータ化しており、そのデータの復旧を指します。

BCPはそれら4つの要素を、要素ごとに体系化し、有事の際にどのように対応するかを計画するのです。

近年地震だけでなく、地球温暖化の影響で風水害が各地で頻発しています。

日頃の事業活動に時間が割かれ、またBCPは直接利益に結び付かないことから、取り組むことが良いことと分かっていても、資金面のことなどもあり後回しにされているのが現状ではないでしょうか。

中央会では、BCPの普及推進のため専門家の紹介・派遣等の個別相談や、大切なデータやソフト等の情報を罹災後早期に復旧させるための情報バックアップシステム「用心坊」のご紹介をしています。

この記事を読まれ、BCPに少しでも関心を持たれましたら、中央会職員に一声お掛けください。お待ちしています。

(草島)