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シリーズ「くみあい百景」

測量技術をベースに地理情報システムの構築を

富士宮地区GIS協同組合

住所:〒418-0022 富士宮市小泉468番地の1
理事長:小野寺誠司
組合員:14人
設立:平成17年11月
TEL:0544-26-6660
FAX:0544-26-6660

 

伊能忠敬に始まる本格的な測量

測量とは、国土の実態や状態、位置などを測ることであり、土地や建物など、我々の大切な財産を守る上で、重要な仕事である。

測量の歴史は古く、遠く奈良時代にさかのぼると言われる。江戸時代に入り、伊能忠敬が日本地図作成のため、蝦夷地(今の北海道)で行った測量が、本格的な測量の始まりとされる。忠敬の死後、その意思は弟子に引き継がれ、精度の高い地図として完成した。

昭和24年には、測量法が制定され、国の管理のもと、統一的な測量が行われるようになった。

近年では、マイクロエレクトロニクス化の進展などを背景に、測量機器の電子化が進むとともに、人工衛星から得られる情報の活用などで、わが国の測量技術は、国際的に見ても、トップレベルの水準に達していると思われる。


組合設立でGIS化を推進

GIS(地理情報システム)のイメージ図。

90年代までは、景気の後退局面において、公共投資を中心とする経済対策が、積極的に行われてきた。しかし、構造改革の推進以来、この方針は見直され、公共事業の比重の高い測量業界は、厳しい経営環境に置かれている。

当組合は、こうした経営状況を打開するため、富士宮市及び芝川町の測量業者15人により、平成17年11月に設立された。

「国は電子国土化を推進しており、行政サービスにデジタル化された地図情報(GIS)を利用する場面が、今後ますます増える。こうした新しい技術を、地域の業者が一体となって推進するために組合を設立した」。小野寺理事長は、設立理由を述懐する。

組合名称にも使っている「GIS」とは、地理情報システム(Geographic Information Systems)のことをいう。GISは、電子地図上に、デジタル化された固定資産・都市計画・道路・河川・上下水道・地籍・農用地など、多種多様の分野の情報を一体的に処理し、視覚的な表現や高度な分析を行う情報システムのことである。


130人の技術力と駆動力

地道な測量を行い、地籍調査を進める。

組合の行う主な事業は、「地籍調査」及び「地理情報システム」の共同受注業務である。

地籍調査とは、国土調査法に基づく国土調査の一つで、一筆ごとの土地の所有者、地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量することである。これにより、登記所の登記簿や地図を新しく更新することができる。

現在の登記所の地図は、その半分程が、未だに明治時代の地租改正時の地図を元にしており、実態と違うことがある。

そこで、国土交通省では、進展をみない都市部における地籍整備を推進。富士宮市は、この方針に従い、それらを行うための基礎的データの整備を進めている。

「市内の実情を熟知する測量業者が、長年培った実績と組合員傘下の130人の技術力と駆動力を発揮し、そうした業務を受注することで、地籍整備の推進に協力していきたい」と理事長は強調する。


組合員一丸の技術研鑽

「組合員が一丸となりGISの技術研鑽に努める」と小野寺理事長(右)。左は佐野専務理事。
実際に使われているGISによる不審者情報配信サイトの概要。

GISの推進は、行政の効率化のみならず、市民が安心して豊かな生活を営むことができる社会を、実現するものである。

「組合と富士宮市は、災害時における測量設計等の、緊急協力に関する協定を取り交わしている。GISの整備・普及で、災害時等における、迅速かつ的確な対応が可能となる」。理事長は、GISの活用に期待を寄せる。

「今年度、市からGISの基礎調査を受託。既にGISは、不審者情報などに活用されており、今後急速に普及すると思われる。組合員が一丸となり、その技術研鑽に努めていきたい」。

国は、平成19年5月「地理空間情報活用推進基本法」を成立させ、今年4月「地理空間情報活用推進基本計画」を閣議決定した。

今後、地図情報が急速に整備され、Webなどを通じ、我々の生活に身近になる日も間近である。組合が目指す、測量技術をベースとしたGISへの期待は大きい。