静岡県中小企業団体中央会Shizuoka Prefectural Federation of Small Business Associations. |
昭和43年10月1日 |
CHUOKAI MONTHLY 2008 May No.654 緑と水の環境が生む、21世紀の「ものづくり」浜松西テクノ協同組合
ものづくり最前線県西部地区の中心都市である浜松市。昨年4月、全国16番目の政令指定都市として、新たなスタートを切った。 温暖な気候と、豊かな自然・水源に恵まれ、輸送用機械、楽器、繊維産業など、「ものづくりのまち」として発展を遂げてきた。 最近では、光・電子技術関連の先端技術産業を中心に、国内はもとより世界からも注目を集めるようになった。 当組合は、こうしたものづくりの最前線を支える、浜松市内の中小企業が、工場集団化事業を行う目的で組合を設立した。 環境共生モデル都市(エコシティ)バブル経済が終焉を迎えようとしていた平成3年。浜松市内の住工混在地域で、騒音や工場拡張難など、課題を抱える中小企業が、工場集団化事業を行うために研究会を立ち上げた。 「当時は、急激な景気後退局面にあった。しかし、現状のままでは企業の発展は期待できない。そのためには、どうしても工場移転が必要であった。研究会は、約30社が参加、月1回のペースで勉強会を行い、県や市に工場用地確保を要請してきた」と伊藤理事長は、研究会当時をふり返る。 こうしたなか、環境問題に対する関心は高まり、“都市づくり”においても、環境負荷の軽減、自然との共生など、環境への配慮が求められるようになった。 平成7年、浜松市は都市づくりを先導的に進める、建設省(現国土交通省)の環境共生モデル都市(エコシティ)の指定を受ける。その重点整備地区に、東名高速道路浜松西インター北部の、和地地区が決定。自然環境に配慮した職住近接型の開発事業が着手された。 「工場集団化は多額の資金を要し、返済も長期に亘るため、組合員の信頼関係が大事。研究会を重ね仲間作りを行ったことで、真に行動をともにできるメンバーと出合うことができた」。理事長は、組織づくりの大切さを強調する。 平成8年、進出企業11社で組合を設立。翌年から国の高度化資金を利用した、工場等集団化事業に取り組んだ。 21世紀型工業団地のモデル組合は、集団化事業に4年の歳月を費やした。和地地区に17,815m2の土地を取得。組合員も新たに2社加わり、全13区画の工場団地を完成させた。 工場団地のある整備地区内は、工場と住宅が共存している。進出企業である組合員は、組合と環境協定を結ぶなど、自然や近隣住宅との共生に努力している。 「敷地面積に対する緑化比率を20%以上としたほか、建物外への 騒音は70デシベル以下に抑制。道路に面した法面は、全面つつじを植栽し、緑豊かな景観を施している」。秋田専務理事は、環境や近隣への配慮を語る。 また、組合員企業に採用がある時は、優先して地域住民を採用するなど、地域との共存にも努力している。 異業種の英知を結集組合事業は、工業団地の施設管理はもとより、組合員企業の資質の向上を図る教育情報事業にも全力を注ぐとともに、組合活動の意識づけや相互交流も深めている。 平成14年からの5年間は、厚生労働省の「中小企業人材確保推進事業」に取り組み、Webによる求人活動、各種セミナーを開催した。また、美化運動や、ボウリング大会など、組合員の交流事業も活発に行っている。 組合員は、それぞれに卓越した技術力を有する異業種である。分野の異なる輸送用機械器具製造業が大部分であるが、LPガスの製造・配送業、鉄鋼業、運送業など、業種も多彩である。 「組合は頻繁に定例会を開催、組合員企業を相互訪問するなど意思疎通を図り、経営や技術面でのヒントを学びレベルアップを図っている。今後、異業種の英知を結集し、技術開発や製品づくりに可能性を拡げたい」と理事長は、ビジネスチャンスの拡大に期待を寄せる。 「ここまで順調にこれたのは良い仲間に恵まれたこと。組合の意義を理解しあい、さらにつながりを強固に活動していきたい」と理事長は、組合の絆を大切にしている。
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