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九機関が加盟 「食料産業クラスター協議会」発足
農林水産業と食産業が連携へ

生産者や流通・加工業者の連携を通じ地域の活性化を産学官で支援。クラスター形成に向け、マッチング支援や新商品開発、販売促進、技術支援などに取り組む。事務局は、県食品産業協議会の事務局を担当する中央会が受け持つ。

産学官で農産物の開発・販売、ブランド化など支援

協議会会長に井上会長選出

設立総会には、静岡県や県農協中央会、県経済連、県漁連、県農業法人協会、県食品産業協議会など業界団体のほか、しずおか産業創造機構や県商工会連合会、県中小企業団体中央会ら産業支援団体を含む会員9機関が出席。農林水産業と地域食品産業の活性化を図るため、生産者や流通・加工業者らが連携して商品開発や販売促進に取り組むことが決まった。

設立総会であいさつをする山中一成県食品産業協議会副会長。

記念式典には農林水産業や食品産業、行政、公設研究機関など120人が出席した。

県食品産業協議会の山中一成副会長が、「農水産業と地域の食品産業が手をたずさえ、互いに成長していこう」と挨拶した後、初年度の事業計画案や役員選出などの議案審議が行われた。

初年度は、「クラスター体制の確立」と「需要創出」への支援事業に重点を置く。

前者は、連携促進に向けた事例研究セミナーや地域資源活用型の商品開発セミナーなどを開催するほか、産学官交流の場を設定。また、異業種連携を促進させるためコーディネーターを設置することを決めた。

後者は、技術開発や商品化支援を視野に入れ、食品製造業と農業生産者などの連携ニーズを探るとともに連携組織の実態把握や事業化にむけたアンケートやヒヤリング調査などを行なう考えだ。

新役員には、会長に井上会長、副会長に県経済連の柴田俊二理事長、県漁連の西川徳一会長会長などが就任した。

産業クラスターとは

「クラスター」とは、ぶどうの房などを意味する英語で、産業クラスターとは関連する産業や事業が結びつくことによって新たな相乗効果を生み出す産業群・事業群の総称である。

記念式典では、協議会を代表して県経済連の阿部勝代表理事専務が、「これを機に加工・外食需要に向けた取り組みを積極的に進めていきたい」とあいさつ。

記念式典で協議会の概要説明をする中央会の望月俊介事務局長。「多くの団体・企業の積極的な参加を期待したい」。

原田令嗣衆議院議員は「出会いの場の設定、物づくりの事業化や地域ブランドの育成等を通じて、地域食料産業の発展を期待する」と祝辞をのべた。

「酒米“誉富士”による酒造りの取組み」と題し事例発表した県農業水産部の古川信好主幹。

農林水産省関東農政局の富山武夫課長は、「地域農産物を活用した高付加価値商品の開発に期待したい」とあいさつした。

「キウイフルーツワイン等の商品化」について事例発表した県商工会連合会の齋藤亘久主査。

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千葉大 齋藤修教授が記念講演

続いて行われた記念式典には、生産農家や食品企業、行政など120人が出席。

来賓の原田令嗣衆議院議員、農林水産省関東農政局生産経営流通部食品課の富山武夫課長が祝辞をのべた。

また、千葉大学園芸学部の斎藤修教授が「食品産業クラスターの形成条件と戦略的課題」をテーマに記念講演を行ったほか、県農業水産部の古川信好主幹が「酒米“誉富士”による酒造りの取組み」について、県商工会連合会の齋藤亘久主査が「キウイフルーツワイン等の商品化」について、それぞれ事例発表した。

農業と食品産業との緊密な連携でミスマッチ解消を

千葉大学園芸学部
斎藤修教授

 

 

農業・食品産業双方にメリット

卸売市場法が改正され、農産品の流通は根本から変わっていく。市場流通依存から脱却し、量販店や生協、外食産業・食品加工業等々の実需者との商談を行なって直接販売するマーケティングの力をつけることが緊急の課題である。

連携がなぜ必要か。一言でいえば、連携してパートナーシップの関係を強化することにより、農業者に不足する加工や販売、その他のノウハウなど各種の経営資源を習得し、安定的な価格や高付加価値の価格で販売していくことができるからである。一方、食品産業も原料・食材の手当てを海外にシフトする動きが進展するなかで、商品の差別化の観点から農業との連携を求める食品産業も少なくない。

ところが農業サイドからの連携へのアプローチが少なく、あるいは安定した供給がなされないために、心ならずも食材を海外に求めざるをえない食品産業もある。その意味では、連携は単に農業サイドへの所得増をもたらすだけでなく、日本の食料自給率を高めていく道でもある。経済のグローバル化のもと、今後、輸入農産物の関税がいっそう引き下げられる可能性もあるなかで、なんとしてもマーケティングを強化し、連携を推し進めてほしい。

大学・研究機関と連携でコスト節約へ

行政支援については県の農林水産部だけの事業でなく、商工・観光セクションとの連携の必要性が高まっており、商工労働部の産業クラスターなどの補助事業の活用も一手だ。

全国を見ても、公設試験場については農業試験場と工業試験場の統合化によって食品の製品開発がしやすくなったし、また、独立行政法人化により食品企業と連携が容易になっていくのではないか。産・学・官のうち、大学は先端技術のように牽引力としての役割は低くなるだろうが、特定健康食品などの認証には、機能性の分析や実験などに数千万〜1億円が必要とされることから、大学・研究機関等との連携はコスト節約などの効果も期待できる。