google

シリーズ「くみあい百景」

生活者の視点に立ち家づくりを提案

協同組合ハウジングワークスしずおか

マネージメントシステムで家づくり

住宅は、一生で最も高価な買い物に例えられる。住宅に対する消費者のニーズやこだわりが、年を追うごとに多様化する中、ハウスメーカーや大手工務店などの供給側は、施主の限られた建築資金の範囲内でいかに希望を満たし、顧客満足度を高めていくかが、今や生き残りの条件となっている。

一方、小規模な工務店や専門工事業者の多くは、大手業者の下請けとして激しい受注獲得競争の中に置かれ、工事単価の引き下げや工程の切りつめをせざるを得ない状況にある。

こうした中、静岡市、岡部町の大工、左官、板金、水道、塗装、内装、エクステリアなど家づくりの専門家11人が団結し、平成15年に立ち上げたのが当組合だ。

わが国の住宅施工は、ハウスメーカーや工務店などが単独で施主と契約を結び、施工する一括請負方式が主流を占める。これに対し組合では、施主が基礎、内装、外装、水まわり、電気など施工業者である各組合員と直接契約を結ぶ分離発注方式(マネージメントシステム)をとる。ハウスメーカーや工務店が介在しない、いわば施主による直営工事だ。

「マネージメントシステムの第一のメリットは、お客様と施工業者の距離が近く、家づくりにお客様の意向を大きく反映させることができること。お客様の要望を出来るかぎり取り入れ、満足のいく家を提供したい。しかし、そのためには、常にお客様と業者が直接話し合う場が必要です。そこでわたしたち組合の家づくりは、お客様を交え、全組合員が一堂に会して顔合わせを行うところから始まります」。尾坂和彦理事長は、家づくりに対する信念を語る。工程管理や工事全体の統括、さらには設計監理業務が建築士事務所を営む理事長の役割だ。

対話を重視し、そこから施主の意向を十分に汲み取るこのシステムは、一括請負方式に比べ、両者間に親近感が生まれ、これが強い信頼関係につながる。

“マネージメントシステム”の仕組み。施主と業者の距離が近く、施主の意向を家づくりに大きく反映させることができる。

このページのトップへ

透明性の確立とコスト削減を目指す

同システムのもうひとつのメリットは、透明性だ。一般に一括請負方式では、それぞれの専門工事業者は、ハウスメーカーや工務店の下請けに位置づけられ、契約工事代金には、各専門工事業者の見積金額に加え、マージン等諸経費が含まれる。マネージメントシステムでは、業者ごとに直接契約を結ぶことで、これらを省き、費用を抑えることができる。

「多くのひとにとって、家は生涯で最も大きな買い物。不必要な出費は極力抑えたい、と考えるのは当然のことです。マネージメントシステムでは、専門工事業者からそれぞれ、工事明細書が出されるので、費用配分や価格構成が明確となり、不透明な部分がなくなります。また求める住まいのクオリティに合わせ、お客様主導で、費用配分を決定することも可能です」。理事長はそのメリットを説明する。

組合が手がけた新築住宅。施主のこだわりが随所にみられる。

組合員一人ひとりが営業マン

一方、高まる増改築ブームにより、異業種やハウスメーカー、ゼネコンなど大手の参入に拍車がかかるリフォーム市場。ここでも組合は、設立以来3年続けて、年間約30件にのぼる実績をあげる。

組合員が顧客のリフォームなどを手がけた際に、組合を積極的にPR。改修などが必要な場合は、組合を通じ、専門業者である組合員を手配する。組合員一人ひとりが組合の営業マン、というわけだ。こうした営業努力に加え、組合のリフォームに対する姿勢も消費者の心をとらえる。

「専門家の視点ではなく、住む人の視点に立った提案がわたしたちの信条です。例えば、階段の手すり。われわれ業者は、自身を基準に、この高さがもっとも使いやすい位置だ、と考えがちです。しかし、お年寄りや体の不自由な人からみれば、必ずしも使いやすい位置ではないことが多いのです。そんなときは、少し腕を曲げた位置で高さを調整するなど、細かな配慮を施します」と自負する。

着実に実績を積み上げる組合。

生活者の視点からの家づくりは、これからも続く。

組合を束ねる尾坂和彦理事長。工程管理や工事全体の統括、さらには設計監理業務が役割だ。

組合のHP(右)と販促パンフレット(左)。一人ひとりが営業マンでもある組合員にとり、強い味方となる。

ホームページ:http://www.hw-s.jp/

住所
〒420-0073 静岡市葵区三番町21番地の4
理事長
理事長 尾坂和彦
組合員
7人
設立
平成15年2月
TEL
054-251-0669
FAX
054-251-8847
U R L
http://www.hw-s.jp/