google

特集

総会に備える!-1-
決算から総会終了まで

財産目録

中協法規則には会計処理に関する規定も多く盛り込まれた。

同規則第五六条第二項では、財産目録に計上すべき財産については、第103条(資産の評価)により会社計算規則第5条と同様、取得価額を付すこととされた。

負債の評価についても、中協法規則第104条に会社計算規則第6条と同じ規定が定められた(負債の評価基準は、原則、債務の額面額、退職給与引当金の要支給額の引き当て等)。このため、財産目録の作成は、従来どおり、取得原価基準であり、「差引正味財産」が「正味財産」に改定されるなど一部の名称等の変更を除き大きな改訂はない。

貸借対照表

貸借対照表作成にあたっては、企業会計原則に準拠しなければならないが、組合会計における剰余金の配当、持分の計算、加入金、事業別会計等、特殊な会計が必要となる。従来、組合会計基準は、これらの会計に対し、一定の基準を示してきた。

中協法規則改正により、貸借対照表の表示等に関する規定されたことから、この規定を踏まえて作成することが必要だ。

従来の様式と大きく改定されたのは、「純資産」の部の表示である。「資本」の部が「純資産」の部に改められ、「組合員資本」と「評価・換算差額等」に区分された。

「評価・換算差額等」には、脱退者持分払戻勘定を表記する。

また教育情報費用繰越金を「負債」から「純資産」に移し、取り崩しを任意に行うよう改正された。

損益計算書

組合が作成すべき損益計算書等(損益計算書及び連結損益計算書)について必要な部や項目は、中協法規則第70条から第78条に規定される。(共済事業を行う組合は、第71条から第73条までの区分に代えて適切な部又は項目に分けて表示しなければならない)。

第71条では、「損益計算書等は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない」とされ、事業収益、賦課金等収入、事業費用、一般管理費、事業外収益、事業外費用、特別利益、特別損失の区分の記載が義務付けられた。

一方で、金額が重要でないものについては、細分しないことも可能としていることから、組合の実情に応じて判断することが必要である。

なお、費用配賦表は中協法規則に特段の規定はないが、損益計算書の一部を構成する書類であり、事業別損益計算書を作成する際に事業の間接的な経費を各事業別の損益に配賦する場合に作成する。

製造原価報告書も同様に作成の義務付けはないが、製造原価の内容を記載する報告書として損益計算書へ添付することができる。

剰余金処分案(損失処理案)

従来と大きく変わった点は、組合積立金取崩額が規定され、脱退者持分払戻額が剰余金処分から外れたことである。

組合積立金には、特別積立金、○周年記念事業積立金、役員退職給与積立金などがあるが、○周年記念事業積立金取崩は、損益計算書の事業収益の部へ表示され、役員退職給与積立金取崩は、役員退職金の減算として損益計算書に表示される。

このため、剰余金処分案の組合積立金取崩額として計上されるのは、出資金に充てるため取り崩される特別積立金と会館建設積立金取崩となる。

損失処理案では、損失てん補取崩額を中協法規則で組合積立金、利益準備金、資本剰余金と明確に定義づけた。(剰余金処分案、損失処理案様式例参照)

このページのトップへ

<剰余金処分案様式例>(非出資商工組合を除く)拡大図を見る

剰余金処分案様式例

(作成上の留意事項)

(1)出資商工組合、企業組合、協業組合は、教育情報費用繰越金の処分はない。

(2)脱退者への中協法20条による持分払戻があるときは、別に、脱退者持分払戻計算書を作成する。

(3)税効果会計を適用する最初の事業年度において、過年度に発生した一時差異等(繰延税金資産と繰延税金負債の差額)を処理する場合には、過年度税効果調整額として、当期未処分剰余金に表示する。

 

<損失処理案様式例>(非出資商工組合を除く)拡大図を見る

(作成上の留意事項)

(1)中協法56条による出資一口の金額の減少を行い生じた出資金減少差益及び、持分計算の結果出資金に満たない額を払い戻した時に生じる出資金減少差益を、損失てん補に充てるときは、資本剰余金取崩額に表示する。なお、資本剰余金取崩額は、資本準備金項目である加入金、増口金及びその他資本剰余金項目である出資金減少差益、その他の資本剰余金項目に区分して表示することができる。

(2)当期未処理損失額が少なく、次期以降の利益で、てん補できる見込みのときは、次期以降へ繰越損失金として繰越してもよい。