google

クローズアップインタビュー

団地組合の“無形の恩恵”は計り知れない
次世代への団地一体性の継承に全力

磐田さぎさか工業団地協同組合
芝原利一 理事長

天竜川をはさみ磐田市と浜松市を結ぶかささぎ大橋周辺に広がる磐田市匂坂地区。この地に磐田市や浜松市などの製造業を中心とする異業種24社が工業団地を立ち上げ、今年で25年の節目を迎える。

その第四代理事長に就いて丸2年。常に追い求める理事長像がある。

「ある組合員が経営不振に陥ったときの理事長はじめ、三役の対応は素晴らしかった。その組合員にも組合にもベストの選択をし、それを速やかに実行した。理事長ってすごいな、と心底思ったね」。

組合では、設立以来、組合員全体会議を毎月開催し、合議制のもとに方針を決定する。

「毎回、ほぼ全員が出席。事務局に顔を出せば必ず誰かいる。意識の高さ、雰囲気の良さは抜群です」。

その一因として異業種の集まりであることを挙げる。

「同業種だと、隣が残業しているのに、うちは定時終業、じゃ気になる(笑)。他業界のいろんな情報が入って刺激も多いし、仕事の受発注も活発。団地にいることで得る信用も大きい。団地進出で受けた“無形の恩恵”は計り知れない」。

現在、組合員は22社。高度化資金の償還を終え、土地などの所有権移転も済んだ。世代交代が進む中、新たな組合の進む方向を決定する役割を自らに課す。

「団地の一体性を次世代に継承するのが命題。そのために組合員の安定した企業経営の環境づくりや人材の確保など、組合員が求める事業をいかに展開していくかを青年部や事務局も含め、徹底的に検討し、実施していく。とにかく前に進む、何かを始めることです」と迷いはない。

高校卒業後、父の営む芝原工業株式会社にプレス工として入社。プレス機に手を挟まれた従業員を病院に運ぶ辛い役目も経験もした。

「母を連れて行くときは、涙が止まらなかったよ」。

大きな転機はオイルショック。15人近い従業員が3人に減った。

「板金の機械だけ残して15台のプレス機全てを売り払い、プレス加工から手を引き、板金に賭けた」。

この大きな賭けは成功した。板金加工に加え、制御盤や操作盤の製作も手がけ業績は順調に拡大した。そんなとき、取引先から誘いを受け、団地進出を決断。30代後半のことだった。
「人のつながりのありがたさや信用を重んじること、感謝の気持ちを常に忘れないこと−。組合でかけがえのない多くのことを学んだ」。

中央会理事。