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富士の叫び

若者が夢を持てる国づくりが新たな活力を生む

今年の正月三が日は、穏やかな天候に恵まれ、平穏な幕開けが期待されたが、株式市場の大発会でその様相は一変した。初取引としては、戦後最大の下げ幅を記録する一方で、円高も進行し1ドル105円台を付けるなど、日本の生命線である輸出への悪影響も懸念される。さらに、国際原油先物取引の異常な加熱などにより、ガソリン価格や石油製品の高騰を招き、生産・加工・サービス産業などあらゆる業種でコスト高が招来された。産業の裾野に広がる中小企業が苦しむ中、大手企業はいち早く製品価格への転嫁をはじめている。

こうした中、先月召集された通常国会は、「ガソリン国会」と揶揄されるなど、30年以上続くガソリンの上乗せ暫定税率の廃止が焦点とされている。今国会の課題は、新年度予算の審議に加え、深刻化する地域間格差の是正や内需拡大による産業の構造的改革など、わが国が抱える課題に対し与野党の政策論争を通じ、具体的な方策を見いだすことにある。これらがおざなりとならぬよう真摯な論戦を期待したいものである。

昨年、全国の都道府県で成長力底上げ戦略推進円卓会議が開催され、最低賃金の大幅アップとともに、その原資創出ともいえる中小企業の生産性向上対策が打ち出された。その折、全国の中小企業者から上がった現場の声、即ち地道な経営努力が報われる仕組み、ルールづくりこそ、真っ先に取組まねばならぬ最優先課題である。そしてその実現こそが、景気回復への道であると同時に税収確保にもつながると思われる。

米国のサブプライムローン焦げ付き問題に端を発した世界同時株安の進行は、景気の先行き不透明感を高めている。経済のグローバル化が進む中、国際社会の一員としてわが国が担う役割は重要である。しかし、改めていうまでもなく、日本経済の足元を支える中小企業の体質の真の強化こそ、今求められているのである。それが次代を担う若者が夢を持てる国づくりにつながり、新たな活力を生むこととなると強く信じる次第である。

静岡県中小企業団体中央会・会長 井上 光一