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 多士済済 
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 編集室便り



 指導員の現場から
経営革新支援法が変わる。
経営者はアイデアを
磨く習慣を。




「革新支援法で企業の意思表示を!」

 「新しい事業を始めたいが、資金調達に苦慮している」。「新たな事業のアイデアはあるが、事業化までには研究開発費が必要となっている」。
 ―その様な中小企業の声にこたえるために生まれたのが、中小企業経営革新支援法である。
 平成十一年に誕生したこの支援法による承認企業は、本県では、六百件(平成十七年一月現在)を超え、その承認を受けた「新たな取組」に対し、研究開発費の補助金・低利融資・信用保証協会の別枠保証等の支援が行われている。
 支援法の生まれた背景には、平成十一年の中小企業基本法の改正とそれに伴う国の中小企業施策の大転換がある。中小企業全体の底上げを意図した従来の中小企業施策から、伸びようとする意欲ある企業を集中的に支援していこうという施策への転換である。
 行政が中小企業支援を行う重要な判断基準となるのが、支援法の承認であり、また、企業が行政に対し「伸びていこうとする意欲のある企業である」ことを意思表示することが支援法の承認申請ということになる。
 「経営革新支援法の承認=中小企業支援施策の土俵に上ること」であり、全国八番目という承認企業のの数は、県内企業の支援法に対する関心の高さを示している。
 この法律は今年中小企業支援三法を統括した新法として生まれ変わる予定であるが「経営革新支援」は、その新法の中核的な役割を果たすと考えられている。

「組合の新たな役割を」

 本会では、平成十五年度より経営革新支援法の受付窓口として事業計画の相談から申請書類の作成支援まで承認希望企業のサポートを開始し、年間十件以上の承認申請を手がけている。個別企業のサポートはもとより、組合自体の承認申請(現在二件)にも力を入れている。
 また組合と中央会が連携し組合員企業の経営革新を支援することにより、組合に新たな役割が生まれることを期待している。

「まず相談、が経営革新への第一歩」

 「経営革新」というと大げさに聞こえるが、経営革新支援法の求めている「新たな取り組み」は業種・規模を問わず少なからず実践されているのではなかろうか。
また、現在の景況下、既存の事業に限界を感じ新たな事業展開を迫られている企業も多い。
 実は、承認企業の多くはそのような企業である。経営者の新たなアイデアを他社との差別化や市場性等を考慮しながら、実現可能性のある事業計画書に練り上げる過程にこそ、この支援法の本質がある。本会は、そうした実務に不慣れな経営者のお手伝いをさせていただく役割を担っている。
 どのような企業にも、他社に誇れる原石を持っているはずである。それを磨き、前面に押し出していくことが経営革新につながる。
 「何かを始めたい」と考えている経営者の方は、難しく考えず、まず相談していただきたい。それが、「革新」への第一歩となるかもしれません。
(真野匡)



中小企業静岡(2005年3月号No.616)