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国民と政治と責任

 私は先頃、不注意から、風邪をこじらせ二カ月間ほどの休みを余儀なくされた。
 その間、日頃の喧噪から隔離された状態で、社会や政治そして経済動向の一部始終を、客観的立場から観察できる機会を得た。
 新聞は毎日克明に目を通し、ふだんは見る機会のないテレビもよく見た。野球も、サッカーも見た。幕下や十両の相撲も見た。
 勝者も敗者も、自分の持てる力を最大限に発揮し、まさに死にもの狂いで戦っている姿には、胸を打たれるものがあった。
 一方、最も不愉快であり、残念であったのは、政治(家)の動向であった。細川元首相の策動もあって、大同合併した民主党結成のプロセスは、我田引水で個々の利害が見え見えで、与党に対抗しうる最大勢力の結集にしては、舞台裏の醜態が感じられ、結果国民の期待感も薄れているように思われた。
 さらに連日国会の生中継をつぶさに見ていると、「まるで猿芝居ですね」と言うアナウンサーの表現がピッタリする場面のなんと多かったことか。
 質問する議員の内容もさることながら、全般的に答弁する側の発言も紋切り型に終始し、互いに、持時間を気にしながら時間の消化≠ゲーム化している、としか理解できない無味乾燥な応酬が続く。
 いま話題のサッカーなら、文句なしの遅延行為によって、イエロー・カードが連発されているに違いない。
 今日わが国経済は、構造的にも実質的にも危機的状態にあることは、何人も否定できない。
 こうした事態を打開していくには、国の内外に対して、政治の強力なリーダーシップと適切果敢な政策遂行が今日ほど望まれている時はないと思う。
 われわれもまた責任ある主権者として、政治に強い関心をもって、監視していかなければならないことを痛感した次第である。

静岡県中小企業団体中央会・会長

中小企業静岡(1998年 6月号 No.535)