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3



   静岡県わた寝具商工組合
 
 
   
快適・健康・自然がキーワード



              
〒422-8076 静岡市八幡2-7-4
               TEL 054-285-8355   

 



製綿業者と寝具小売業者が結合し設立

▲組合会館




 私たちの日常生活の約三分の一を占める睡眠時間。体を休めて心身をリラックスすることは、ストレスが多いといわれる現代人にとって、必要な事である。
 ベッドが今のように普及する以前は、日本人と布団は日常生活で切り離せない存在だったといえる。また業者によれば昭和三〇年代ぐらいまでは、綿工場から寝具小売業者が綿を買い入れ、綿だけを消費者が買い家庭で作ったり、寝具小売業者が布団に仕立てて消費者に売るケースが多かったということである。
 県内の打綿加工業者および寝具小売業者は、それぞれ静岡県打綿工業組合(昭和二七年四月設立)・静岡県綿寝具商工協同組合(昭和三六年十二月設立)に加入し、組合活動を行っていた。
 活動が活発・拡大するなかで二つの組合が合併し、昭和四三年、静岡県打綿工業組合が静岡県製綿寝具商工組合に名称変更。さらに翌昭和四四年、現在の静岡県わた寝具商工組合に変更した。

 当時の組合員構成は、打綿加工業者が四九二人、寝具小売り業者が二三八人の、合計七三〇人。
 主な組合事業は、製綿、寝具に関する商品の共同購入、共同宣伝、金融事業が中心であった。
 「現組合設立当時は、寝具小売業者のうち約六五オが、打綿加工業であった。組合の一本化で、スケールメリットを生かした共同購入、共同宣伝、組合員を対象にした火災保険事業が機能的に運営されていたと思います」(組合関係者)
 現在、量販店や通信販売、カタログ販売等といった異業種の参入により、専門紙の報告によれば、専門店による寝具関係の販売シェアは十五オ前後まで落ちている状況である。
 また、寝具関係の売上高も一九八二年をピークに、下落傾向。現在は、ピーク時の約六十五オまで下がっている。 
 当組合は、小企業者が多数である。量販店や通信販売、カタログ販売等といった異業種の参入が、最近多い。
 これらに対抗するために、昨年度組合で中央会補助事業の活路開拓事業を行い、二一世紀に向けた生き残り戦略を模索・検討した。

▲組合の試作品




試作品の開発

 組合では、消費者の寝具に関する不満(「べとつき」や「むれる」等)に対し、快適な睡眠をとりやすいことと、環境問題に対応した天然繊維の製品を活用することを目標に試作品(わたんちゃ)を開発した。
 わたんちゃは、掛けふとん・敷ふとん・茶そば枕・カバーに、厳選された木綿わた・静岡茶・そぼがら・炭等を使ったものである。
 開発された試作品は、胸元をカットし足元の綿を増やした独自デザインの「掛け布団」、吸湿性と消臭性に優れる備長炭を不織布で包んで二枚の布団で挟む「敷き布団」、粉茶で先染めし茶の中のカテキンの抗菌効果を利用する「緑茶染めカバー」、棒茶とそばがらを使う「茶そば枕」の四種類。
 パソコンが普及し、今後は、インターネットを使った売買が増加し、家庭用

▲組合ホームページも戦略の一つ


寝具も店頭に出向かずに購入する場合が増えると予想される。
 これに対し、組合でも昨年静岡市のツインメッセで行われた「産業フェアしずおか」や「組合まつり」に出展するなどして、消費者の声を聞く機会を増やしている。
 「おかげさまで既に、試作品に対して、お客様からの問い合わせが徐々に増えています。健康志向の追い風の中でこれからもアピールしていきます」(沢田事務局長)
 また現在は、より快適な睡眠環境が望まれている。
 「時代のキーワードは、健康、自然、天然だと思いますが、今後も、市場調査を進めていきます」(同)
 また、組合ではホームページ等を作成し、組合情報の全国発信を考えている。
 職人気質の組合員が多かったわた寝具業界も、時代に対応した経営戦略を模索している。


中小企業静岡(1998年 6月号 No.535)