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「商店街の空き店舗対策」 野口冬樹事務所 |
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静岡県下の商店街には一部の広域型繁栄商店街を除いては、その殆どの商店街に空き店舗が発生している。 しかも、今後商業経営者の高齢化・後継者難などで5〜6年後には更に増加することは、容易に予測され、それぞれの商店街では、決定的な解決策がなく商店街のリーダーは腐心をしている。 確かに、商店街の中で退店した後が埋まらずに空き店舗となってしまうと、商店街の買物空間としての魅力がそがれる。 集客力が減退して、周辺の商店までもがその影響を受ける。空き店舖は商店街の空洞化や、スラム化の兆候と捉え、早急に手を打たねばという思いが強い。 多くの商店街は長い間、買物空間としての整備をしてきた。即ちアーケードの設置・カラー舖装・街路灯といった商店街の3種の神器によって、買物空間を演出してきた。それによって、戦後一貫して商店街は横のデパートを目指した。 その商店街に空き店舖の発生するということは、大問題であることに違いない。翻って商店街の歴史をみると、商店街の商店はかなり頻繁に入れかわっている。昭和40年代の静岡市の中心商店街の商店配列図と、現在の業種構成を比較してみると、その変化は極めて大きい。 ここで問題になるのは、退店者の後に商店が新たに入ってこないということである。商店街としては、退店者が出た時点で新たな入店者があれば問題ない。それが商店街に不足している業種業態であれば、なお望ましい。どんな業種・商業者でも埋まればよいと言うものではないのである。 何故なら商店街活動に非協力なものでは返って、空き店舖以上に問題を提起するからである。 しかし、商店街が店舖交替に積極的に関与している例は少ない。 その数少ない事例としては、焼津駅前商店街が活性化基金を利用した空き店舗対策を実施している。 行政が空き店舗バンクの冊子を作成するなどの例がある。 また、制度的には中小企業事業団の空き店舖対策関連高度化事業があるが、県下ではこの制度を利用した事例はない。 今後商店街としては、積極的に空き店舖対策に取り組むべきであり、そのためには、商店街のあるべき姿、つまり商店街のコンセプトを明確にしておく必要がある。 しかし、現実には、積極的に空き店舖対策を実施していける商店街は数少ないであろうが、商店数の減少傾向に歯止めのメドが立たない状況では、何らかの対策がなければ、空き店舗はさらに増加することは避けられないであろう。 商店街としては、その対策は多様な選択肢を追及すべきである。 宅地建物取引業協会などと連携して「空き店舗情報システム」の整備や空き店舖に体験入居「チャレンジ店舖制度」(甲府商工会議所)なども有効な対策であろう。 商店の範囲を広げ、飲食店・クリーニング店・理美容店・診療所・学習塾・JAのアンテナショップ・情報ショップ・ギラリーなども構成員に加えることも必要である。ともあれ商店街を買物空間というよりも生活空間として、見直しが求められる。 |
中小企業静岡(1997年08月号 No.525) |